振袖編2

振袖の購入後の話

景気の悪くなる前に振袖を買った方達へ

 

最後に振袖を着て10年以上経過した人、20代によく着たのに一度も汗とりなどのメンテナンスをしていない人、マンションなどの気密性の高い鉄筋コンクリートに住んでいる人、このような方はすぐに振袖と振袖長襦袢の点検をおすすめします。
着なくなった時に落とし穴があります。しみを長く放置すると酸化しておちないしみになります。もっと大きな問題はかびです。一度も汗とりをしていないならば かびのえさをずっと付けたままにしているようなものです。年月がたてば虫干しするのを忘れたりします。
1985年頃のアルバイトの初任給は¥400ぐらいでした。 20年後 アルバイトの初任給は¥800ぐらいです。 20年で人件費が倍になっています。現在 振袖のセット物で¥20万や¥30万円で広告しています。 20年前は振袖だけで¥30万円以上は出していました。さらに 帯 振袖長襦袢 小物類 を買って合計で¥100万円近くはだしていたのではないでしょうか。呉服屋さんの企業努力は涙ものです。不況や少子化で振袖は売れません。不況になる前に買った人はどうぞ振袖を大切にしてください。
しみぬき屋さんにしみぬきできないとか言われた時は元々ちゃんとした作りの着物ではないから 下手にしみぬきできないというのがあります。購入する時にそのような情報は聞かされていないかもしれませんが、購入時を思い浮かべてください。安すぎたりしませんでしたか?

かびについて

和服のかびは黒色やオレンジ色をしています。かびは取れない事はないのですか漂白のために使う溶剤が和服地そのものを傷めてしまいます。かび取りをしたけれど結局 傷んだ生地の見た目が悪い為に新調する場合があります。かびはついてしまってからでは遅いのです。振袖長襦袢は肌に近い所で着ますので よくわかります。振袖長襦袢についていたら振袖にもついていておかしくありません。振袖だけではありませんが年に2回 春と秋のお天気に良い日に風をとおして お着物の点検をして必ず虫干しをしましょう。

汗取りやしみぬき

買った呉服屋さんに持っていくと対応してくれるはずです。和服専門の悉皆屋さんに持っていくことをお薦めします。しみは自分で調べて 糸でしるしをしておきます。
初級編7に御服屋おかみ流の着物お手入れ方法や注意点を掲載しています。

 初級編7 >>

振袖編3

振袖の歴史

八重桜一般的に認知されている意見ではありません。反対意見の方もいると思いますが、振袖を買うなといっているわけではありません。誤解のないようにお願いします。
振袖はもともと神様を招きよせる為に肩から長い布をストールのように掛けてそれを振り動かしたことに由来します。神様の前で着る着物であることから本来は女性の最高位の服装であるといわれる方もいます。昔 男性は神を象徴する存在でした。(いろいろ意見はあるでしょうが・・・。武家社会になると男性優位が強くなります。) 女性は自分を守ってくれる強い男性を夫にしたいと望みそこから良き夫(神)を招きよせる為に袖を長くする風習がうまれました。振袖は江戸時代初期から一般化してきます。それまでは神事や踊り子など限られた人が着ていました。初期の袖丈は約45cmからはじまり一番長い時は宝暦ごろで100cmぐらいになります。江戸時代の女性の身長を考えますと一番長い時は現在の本振袖より長いかもしれません。その後75cmぐらいに落ち着きました。女性の元服は18才の秋でした。この年になると未婚でも留袖にしました。留袖とは現在の留袖をさすのではなく袖丈を短くし振り口も開けないようにする事です。婚姻するとまゆ毛をそり、おはぐろにします。髪型にも若い人の結い方,奥様の結い方,身分での結い方などさまざまありました。江戸時代結い方は300種類ぐらいうまれたといいます。振袖が一般化したといっても贅沢な物とみなされていましたので身分の高い人やお金持ちが着ました。江戸時代の女性は身分が高いほど外出をしませんでした。奥様という言葉は家の奥にいて出てこないことからうまれた言葉です。家の中まで役人が追いかけてくるわけではありませんので倹約令などの華美禁止の取締りが厳しい時は家の中だけで楽しんでいたのでしょう。
娯楽の種類が豊富なというかありすぎる現在とは違い 江戸時代の娯楽の代表は歌舞伎見物です。現在とは違い 日の暮れる前に芝居が終わりました。芝居見物となるとお金持ちの町人は一日中見ていました。芝居の合間に着物を着替えたりもしたそうです。野暮な服装をすれば評判にも傷がつくてなことだそうです。

ちなみに年のことですが

お母さんのお腹の中には10ヶ月います。この時を一年と考えて年を計算するのが「数え年」の考え方です。生まれた時には一才となります。昔は個々の誕生日を祝うという習慣がなかったので正月元旦に年を一つ増やします。たとえ12月の末に生まれても元旦には年が一つ増えるわけです。女性の元服が18歳の秋ということですが、昔の数え方ならば、現在では16歳ごろということになりますね。


手前かってな意見ですが

分銅桜江戸時代には結婚に関係なく元服をむかえたら留袖にしたのなら現在もそれを取り入れた方がいいのではないでしょうか。少子化が進み 価値観も多様化した現在社会では振袖を成人式で買ってもその後着る機会がありません。結婚式や披露宴をする人が減っている為に振袖そのものの出番がないのです。成人式一日の為に何十万も出すのには疑問があります。一般的には振袖の着れる期間は30才ぐらいです。(個人的には何歳になっても着たい方は着てもらってかまわないと思っていますが、長い袖は邪魔です。行動的とはいえません。ちょっとしたことでも袖をきにしないと汚してしまいますし、腕がもう一本ほしくなります。) 成人式で初めて着物を着る人も珍しくない今 長い袖をもてあまし、洋服を着ている時と同じ感覚で歩こうとします。帯はどんなに上手な人に着付けてもらっても 慣れていなければしんどいです。まして下手な着付けの人にあたれば記念の成人式も台無しになってしまいます。案外見落とすのが草履です。普段から草履をはいている人はめったにいません。振袖用の草履を買う時は必ず鼻緒を足にあわせてもらいます。着付けが悪く、鼻緒がきつすぎた人は着物に悪い思い出ができて二度と着ないと思った人もいらっしゃるでしょう。成人式で初めて着るのではなく小学生,中学生,高校生の時から着れなれていくのがいいのです。振袖の色はビビットな色で、色あわせは反対色が多くあります。例えば緑色の帯にオレンジ色の帯揚げといった取り合わせです。このような反対色の色あわせははっきりしていてめだちますが大人の色あわせではありません。大人の仲間入りなのですから本来ならそうした色あいは卒業するほうがいいのではないでしょうか。
江戸時代の風習に従えば成人式では色留袖や訪問着を着るということになります。現在の色留袖や訪問着の袖丈は1尺5寸(57cm)の長さにはできます。 50年ぐらい前の10代後半の女性は1尺7寸(65cm)の袖丈でした。大人になるのですから1尺5寸の袖丈でも十分ではないでしょうか。未婚女性の第一正装が振袖となっている今、そのルールを無視するのは勇気がいるかもしれませんが訪問着や色留袖の方が長い期間着る事ができるのです。このような意見が浸透すれば振袖はより売れなくなってしまいます。振袖に力を入れている呉服屋さんには悪いですが成人式に着物を着るなといっているのではありません。和服の文化を小さい時からしたしんで自然に自分で着物をあつかえる人が増えてほしいと願っています。和服は大人の文化です。自分にあった和服が選べるようになるには時間がかかるのです。奥の深い世界です。その魅力に「はまる」とぬけられなくなります。和服の魅力を知り和服を着る人が増えることを希望いたします。

振袖編4 

振袖の種類

振袖の分け方

色による分け方と名称

名称 内容
黒振袖 地色が黒.昔は一番上格
色振袖 地色が黒以外の振袖

格による分け方と名称

名称 着物 帯締め・帯揚げ その他
大振袖
(本振袖)
第一正装 二枚襲ね・共八掛け・
紋を入れる・
袷の時期は裾や袖口に
綿を入れる
袖丈114cm(3尺)前後
長襦袢は
緋や絵羽長襦袢
半衿白
丸帯 帯揚げ
緋鹿の子
帯締め
緋や金銀の丸ぐけ
履物
金銀の綴れ・
佐賀錦など
中振袖 礼装 袖丈が90cm~102cm
別八掛けでもよい
襲ねにしなくてもよい
綿はいれなくてもよい
丸帯
袋帯
帯揚げ
綸子や絞り
帯締めは丸ぐけ
金銀の組紐
布製,ビーズ
パール,エナメル
などの草履
とバック
小振袖 およばれ 袖丈が70cm~80cm
中振袖と同じ
丸帯
袋帯
織名古屋帯
綸子・絞り
丸ぐけ・組紐
布製,ビーズ
パール,エナメル
などの草履
とバック

襲ね

長着を重ねて着ることです。三枚襲ね、二枚襲ねがあります。三枚襲ねではそれぞれを上から順に上着,中着,下着,といいます。二枚襲ねは上着,下着といいます。


成人式の振袖は中振袖

振袖
現在の成人式で着る[振袖]は袖丈が大振袖に相当する長さです。でも他は中振袖での範囲です。第一正装を着て成人式に出席している人はまずいません。第一正装を知っている人の方が少数派で,中振袖が正装だと思っている人の方が大多数だと思います。「成人式には第一正装を」と申し上げる気はありません。知識があるのとないのとは大違いだと思います。
裾や袖口に綿を入れて仕立ててあり, 紋がある振袖はアンティークショップでたまにみかけます。豪華な刺繍などもしてあり、昔の人は良い着物を着ていたのだと感心してしまいます。良い物だから残ったのかもしれませんが、持ち主が捨てる勇気がもてないほどの着物だったのでしょう。

振り口布付きの振袖

振り口布付き 振袖
振り口布が付いている振袖はたまにあります。昔は綿まで入れてあるような物もありました。振り口布の中には表の袖と続き柄になっている豪華な物もあります。振り口布は袖口布と同じように表地より少し出して仕立てます。素材は表地と同じ生地になります。また八掛けも共八掛けとなりますので振袖の格としても別八掛けよりは上になります。共八掛けとは表地と八掛けが同じ生地で作っている物をさします。
共八掛けと別八掛けについては留袖、訪問着、色無地でも同じ扱いになります。留袖で別八掛けは見かけたことはありませんが訪問着や色無地では両方存在します。細かくこだわると共八掛けの方が正式だということになります。