女物の袴1

女物袴の歴史

明治になって皇室は欧化政策を行います。皇室は服装も西洋式をとりいれました。公家女性の正装女房装束(一般的には十二単がわかりやすい)は緋袴を着用しますので女性が袴を穿かなかったわけではありませんが、江戸時代になりますと、袴は男性が着るもので、ほとんどの女性は着ませんでした。明治天皇の皇后は女性にも欧化式の教育体制をと考えて、華族女学校(現在の学習院女子中・高等科)などを設立します。皇后陛下の思召書によって、袴を制服としたのです。最初は華族の女子だけが入学しましたが、のちに平民も入学できるようになり、袴スタイルが女学生や女性教師の制服と広がります。現在 卒業式で女性教師が袴をはくのもこの時の習慣が受け継がれているのです。

女物の袴の図

図はわかりやすいように後紐だけ色を変えています。男性の袴とは異なる部分があります。

女物の袴の図

女物の袴の特徴

  1. 前後の紐下の長さは同じ
  2. 紐の長さは前紐の方が長い
  3. 紐の巾は後紐の方が広い
  4. ひだの数は前が5、後が3が一般的
  5. 相引の長さは紐下×3分の2+3センチ
  6. 笹ひだで前後に分かれています。
  7. 前紐巾が3センチから3.5センチ 後紐巾が6センチから8センチ。

卒業式に着る袴の丈の割り出し方

袴丈は着丈を基準に割り出します。体形や好みで変わりますが、着丈=身長×0.83から0.85です。紐下は着丈に0.7を掛けます。袴はちょっと短めに着ますので下の計算式でおおむねよいのではないかと思います。
着丈=身長×0.83  紐下=着丈×0.7

女物袴の標準寸法 単位 センチ
身長 紐下 身長 紐下 身長 紐下
145 85 157 92 169 99
146 86 158 93 170 100
147 86 159 93 171 101
148 87 160 94 172 101
149 88 161 95 173 102
150 88 162 95 174 102
151 89 163 96 175 103
152 89 164 96 176 103
153 90 165 97 177 104
154 91 166 98 178 105
155 91 167 98 179 105
156 92 168 99 180 106

上の数式で割り出した紐下の長さです。小数点以下は四捨五入しています。この寸法を参考にしてください。ただ  ネットでレンタルする場合、袴丈がどこからなのか明確ではありません。袴丈が大雑把なお店は避けた方がいいのではないでしょうか。


草履とブーツで紐下の丈が変わる?

ブーツを見せたい人は標準よりも袴丈を短くします。袴の紐を結ぶ位置と全体のバランス、袖丈の長さによっても、袴の丈は微妙に変わります。本気でおしゃれにしたければ、全体のバランスが大切ですから、貸衣装屋さんにブーツを持参して、袴や着物を決めることをおすすめします。
一枚の袴でブーツを履たり草履を履いたりする人がいますが、ブーツにあわせた袴で草履を履くと、袴丈が短すぎる時があります。短すぎるのは着付けではごまかせませんので、注意が必要です。

最近の袴姿の女性を見るにつけ、呉服業界の衰退を感じます。たまにまともな袴を着ている人を見るとよくぞやってくれましたと思うのです。これは若い女性が悪いのではなく、レンタル業者、着付け、髪のセットをする美容室の質の悪さを感じます。

  1. 長すぎる袴、短すぎる袴、のためにバランスの悪い格好になっている。(髪形もふくめて)
  2. 卒業式という公の行事に参加するのに、うすうすペラペラの化繊を借りる。
  3. 袴を着る時は衣紋をぬきません。袴用になっていない仕立ての着物を着ている。

以上この3点 直球どまんなかの女性達がたくさんいるのです。 大人の謀に抵抗する若者はいないのか?アドバイスできる親がいないのか?本物がわかる人になってほしいです。

女物の袴2

袴を着る時の(長着)着物

振袖姿と袴姿

袖丈

袴を着た時の袖丈は特に規則があるわけではありません。腕をおろした時に袴の裾位置よりも下に袖丈があるのはおかしいです。従って 手持ちの振袖で袴を着る時には振袖を仕立てる時に袖丈を注意した方がいいです。

袖付と身八つ口

振袖の帯位置というのは高いです。袴はそれより低く、帯揚げはしません。振袖では身八つ口はほとんど帯で隠れます。袖付が短い着物で袴を穿くと腕を上げた時に身八つ口が大きく広がって見えます。袖付は少し長めの方がいいのです。

着物の身丈

昔は袴用の女子の着物というのはほとんどありませんでした。卒業式用の化繊の袴セットができて、袴用、つまりお端折りをしない着物も出現しています。普通のお端折りする着物でも 袴裾から見えないような裾位置にして着ます。昔はそれで普通でした。

衿、衣紋をぬくことについて

袴を穿く時は、衣紋はぬかなくていいです。抜き過ぎると普通の着物より品がないです。ところが現在の着物は必要以上に衣紋をぬく仕立てが流行しています。衣紋をぬくように仕立てている着物を抜かないで着つけるために、首周りや衿元が落ち着かなくなります。それを隠すためなのか、不自然な補正をしています。着物と体があっていないような感じです。

衣文をぬくとぬかない図

衣紋をぬいた場合と抜かない場合を図にしてみました。左は衿肩周りというのがふさわしいですが 右側は首に近いところに衿があります。首回りの寸法と大きく抜いた場合の衿肩周りとでは寸法が違います。首回りが落ちつかなかったり、衿にへんなしわができるのは首周りよりも大きな仕立てになっている着物を無理に着ているからだと思います。

衣紋が大きいかどうかは現物を見る以外にはわかりません。肩からの身丈と背からの身丈の差が大きければ大きいほど、衣紋をぬくようになっている着物です。男物の場合は1.2センチしか変わりません。女性で衣紋をぬく着物の最低限の差は3センチです。また 衿肩明きというところの裁ち方がカーブしていると、その分首回りが大きくなってしまいます。

衿肩明きの詳しい説明は和裁中級編2に掲載しています。
和裁中級編2 >>
衣紋の大きい着物を衣紋を抜かないで着ると、剣先が下になり、掛け衿も下がります。掛け衿のすぐ下に帯を結ぶことになるかもしれません。掛け衿よりすぐ下に袴は穿かないのですが、袴丈が長いのか、それとも 着物が前にきすぎているのか?どちらかわからないような人もいます。

宝塚音楽学校の卒業式での袴

毎年3月になると宝塚音楽学校の卒業式がニュースで流れます。袴を着たい人は一度はみておくことをおすすめします。黒紋付(五つ紋)に緑色の袴です。誰一人として衣紋を抜いている人はいません。娘役の人も爆発した髪形はしていません。ただ 袴丈は伝統的に短いです。袴位置が低めで、裾は足袋の上で足が少しみえます。

後裾をふんづける

なぜそのようになるのか?着付けが悪い場合もありますが、慣れない袴を穿くと 何かの拍子に自分の袴の後裾をふんでしまう時があるみたいです。袴を着る時には半巾帯を締めますが、半巾帯の後蝶々結びが袴の上にある人を見かけます。
着付けの後ですから、自分でなおすしかありません。
後紐をゆるめて、帯が見えないように袴の後をあげてから、もう一度 結びなおします。

レンタルで袴専用の着物をレンタルすると 着物の身丈そのものが短く 着やすくなっています。しかし 近頃 ほんとうに思うことは そうした卒業式用の袴や着物の素材の悪さに驚いてしまいます。薄っぺらの着物を成人式に着るのかと思うと デフレ経済が長く続く影響というのを 身に染みて感じるのです