基礎編7 胴ぬき

胴ぬきの構造説明

胴ぬきは身頃の上部に裏をつけないで仕立てる方法です。黄色が八掛けの生地。赤色が胴裏の生地です。袷では暑いのでこの方法で仕立てたりします。裾まわしの身頃部分はひざより少し上までの丈しかありません。表地と縫いつけるわけにはいきませんので、裾回しに胴裏を足します。お袖は袖口布が付くだけです。もしも袖口布必要ないならば、もう少し身頃の裾回しの丈を長くすることができます。表生地と八掛けだけで仕立てられるものではなく 必ず胴裏も必要です。
※ 男物で胴ぬきというのを仕立てたことありません。胴ぬきまでして着る人が少ないということだと思いますが、落語家さんで胴ぬきを着てる人もおられるので 基本的には女物と同じです。男性の場合は 裾回しは内揚げ所までつけることになると思います。

基礎編8 お店に並ぶ反物と形状

反物 巻いている着物

芯木に生地をまいている反物

丸い棒に巻いている着物の生地です。着物でも帯でも基本的にはこの形になっています。

反物 畳んでいる反物

畳んでいる反物

胴裏や八掛けなどの裏地はこのように畳んでいる時があります。特にルールはありませんが疋の長さの物はこのようにします。

仮絵羽

仮絵羽

仕上がった時の柄がわかるように 仮に縫われている着物。 留袖 訪問着 絵羽織 絵羽コート 男物長襦袢などがあります。このようにしておくと試着しやすいということもあります。

仕立てあがった着物

仕立てあがった着物

フリーサイズなどで仕立てあがっている着物。 大きな括りでは古着も当てはまるでしょう。


芯木について

太さの違う芯木写真の左から3番目の芯木が着尺用です。左から2番目は羽尺に使われたりいろいろです。右端の二つはアンサンブルなどの長い反物用です。
芯木は反物を巻く時に芯にする棒のことです。昔は木製でしたが、現在ではダンボールを筒状にして横の部分をプラスチックの丸い物でふさいでいます。木製の芯木は少なくなりました。反物は長さと生地の厚みで巻いた時の直径が変わります。お店に陳列した時に大きさがそろうように 芯木の太さを変えています。

芯木の中に新聞紙を詰めて重くしています。振ると音がするのはそのせいです。長襦袢は軽いので、簡単に転がったりしないように 重くしています。反物自体の重さを測ろうとしても芯木がじゃまをするのでできません。長年仕事をしているとなんとなく反物が短いのではという感が働く時があります。

長襦袢用の芯木 ↓

長襦袢の芯木
長襦袢の芯木です。13.5mは女物の無双袖長襦袢の一枚分です。附下用と書いてある方は絵羽長襦袢です。右端は振袖の長襦袢を巻く時の芯木です。このように着物の種類がわかるようにしている芯木もあります。

反物を横から眺めてみましょう。

着物を買う時、反物を少し広げて柄を見るとおもうのですが、その前に 左右の巻いている横を見ます。耳が部分的に汚れていたり、全体に黒ずんでいたりする。耳がほつれて 糸がでているような反物もあります。耳の部分が黒ずんでいるのは芯木に巻いている時の方がよくわかります。長襦袢や薄い色の着物は出来上がった時にめだちます。着物は洋服とは違って 型紙に沿って 裁つということをしません。耳を切り落としてしまうということができないのです。
耳が汚れるというのは売れないで残っていた物、保管状態が悪かったなど考えられますが、セール品や常識的に安い物ならば、しみぬきはしてくれません。それを承知で買うのはいいですが、お店が承知しないで売るのは最低ですね。

基礎編9 反物の生地巾と丈

着物の固有の単位

長さの名称 説明
一反
(いったん)
長着あるいは着物が一枚縫える長さ。
一疋
(いっぴき)
疋(ひき)ともいいます。二反分の長さがある。
三丈物
(さんじょうもの)
大人の着物一枚分の長さ。最低3丈2尺はあるはずです。これより短いと基本的に本裁ちができません。
四丈物
(よじょうもの)
大人の着物一枚分と八掛け分の長さがある反物。4丈3尺ぐらいあります。喪服が代表です。
四丈物
(よじょうもの)
表地と八掛けが別々の織り方になっている反物。主に色無地にこのタイプの物があります。

「一反」は着物の種類に関係なく着物が一枚作れる長さとして表現します。着物一反は着物が一枚作れる大きさがある。羽織一反は羽織が一枚作れる大きさがあるということです。日本人の体格は大きくなっているので反物も少しずつ 広く 長くなっています。最低大人物だったらこれぐらいはないと仕立てられないという長さはありますが、短い反物は裁ち方を工夫すれば着物にならないこともないので不良品と決め付けるのは難しいです。


巾による名称

反物は個々の商品によって巾も長さも若干の違いがあります。平均より背の高い人 身巾の大きな人は決めてしまう前に用尺を確かめておく必要があります。着物は基本的に一着分を売ります。ほしい長さだけ買うということはできません。

名称 説明
並巾

 

並巾は表地に使用する名称。一昔前は36センチというのが目安でしたが、現在は36センチよりも広いです。したがって 36センチの幅の物は古い生地と思っていいと思います。現在は38センチあると思います。尺貫法になおすと 36センチが9寸5分 38センチは1尺です。 腕が長い人や身長の高い人は買う前に裄をはかり、 生地巾を確認する必要があります。逆に背が低く、裄が短い人は 大きな幅の生地を買うと 和服は洋服のように型紙にあわせて切るということをしませんので、不要な縫込みを体にまとうことになります。体にあった生地を購入することが 見逃しがちですが 基本です。
広巾

 

最近表地ではあまりみません。 胴裏ではあります。関東は広巾の胴裏が多く、関西では小巾の方が主に使われている。72センチ 1尺9寸
小巾 広巾に対する名称で裏地の胴裏では並巾ではなくこちらの呼称が使用される。36センチから38センチ 9寸5分から1尺
クイーンサイズ 女性で並巾や小巾では足りない人が使用する。40センチ 1尺5分
キングサイズ 男性が並巾では裄がたりないので このサイズができました。42センチ 1尺1寸

丈による名称

名称 説明
着尺
約12mから14m 3丈2尺から3丈4尺
大人の長着が一枚縫える長さの反物
羽尺
約9m~9.8m 2丈4尺~2丈6尺
大人(女物)の羽織が一枚縫える長さの反物
コート尺
約9m~10m 2丈4尺~2丈8尺
大人(女物)のコートが一枚縫える長さの反物  ロングコートは縫えません。
雨コート地
約12m 3丈2尺
雨よけのコートが一枚縫える反物 女物
アンサンブル5丈物 約22m 約5丈6尺 長着と羽織の対で仕立てることができる。
アンサンブル6丈物
約24m 約6丈2尺
長着2枚分の長さがある。 背の高い人は5丈物よりこちらを選ぶ
振袖長襦袢
約18m 約5丈
無双袖の振袖長襦袢が一枚分の反物
無双袖長襦袢
約13.5m 約3丈4尺
女物の無双袖長襦袢が一枚できる反物 男物では単衣袖しかできない。
絽長襦袢 約10m 約2丈6尺 夏物の生地女物の長襦袢が一枚分 男物は長さが足りない。
胴裏一枚分
約8m 約2丈1尺
裏衿分が別になっている。女物の長着。 一枚分
胴裏一枚分
約8.5m 約2丈2尺
裏衿分が含まれている。女物の長着。 一枚分
胴裏一疋
約26m 7丈
女物長着の胴裏部分が3枚分とれる反物
振袖用胴裏一枚分 11.5m~12m 3丈~3丈2尺 振袖一枚分
胴裏長襦袢用
約5.7m 約1丈5尺
女物名襦袢の身頃分の反物
八掛け
約4m 1丈5寸
女物長着に使われる反物。 長尺物といわれる物で現在はほとんど このタイプで仕立てる。
肩裏
約4.5m 1丈2尺
羽織 コートの裏地 短尺物
身丈によっては足りない場合がある。
肩裏 長尺物
約5.7m 1丈5尺
羽織 コートの裏地 長尺物 表地の長さにも関係するが長い丈の物を作りたい時には絶対必要。
比翼女物留袖
11.4m 3丈1尺
付け比翼

寸法はメートル法と鯨尺で表記しています。