名古屋帯について

名古屋帯は「一重太鼓が結べる長さの帯です。」というのがわかりやすいと思います。今はほとんどの人がお太鼓結びをするからです。丸帯や袋帯と違って名古屋帯にはいろいろな仕立て方があります。八寸名古屋帯といって芯を入れずに周りをかがる帯があります。真夏以外はいつでも締められる帯です。名古屋帯というのは芯を入れるいれないにかかわらず、垂れの部分は二重になっています。織りの名古屋帯と染の名古屋帯があります。染めの名古屋帯は染め替えられるのもあると思います。織りの帯というのは染め替えはできないと思います。

名古屋帯の構造

名古屋帯の構造

 

あらかじめ胴に巻く部分を折った形で仕立てられています。着るときに胴巻きを折る手間が省けるわけです。

その他の名古屋帯の構造

下のような名古屋帯があったとする

名古屋帯 見本

 

基本の構造は胴まき部分を半分に縫ってしまいますが。この場合は胴回りと手先は半分にしないで広げて仕立てます。胴回りの帯巾を自分で好きに折ることができます。しかし広めに折って結び続けると折った所に線ができてそのうち汚れます。半分に折って締めると両面使って帯が結べます。のちのちの事を考えると半分に折って使った方が長く使えます。良いことは前板がいれやすいです。基本の仕立てでもちょっと別料金になるかもしれませんが前板を入れるポケットを作ってもらうことができます。たたみ易いです。

垂れ先をおりかえして仕立てた名古屋帯

 

胴回りは広げて手先部分は縫うという方法もあります。図では単衣帯の設定になっています。垂と垂の裏側の両端をかがります。帯芯を入れる時には胴回りの部分の両端をそれぞれ折りこんで芯と止めます。

手先を50センチぐらい半分に折ったてかがった

 

名古屋帯で二重太鼓を結べる長さに仕立てる方法

垂先に界きり線がない、落款がないなどの条件はありますが袋帯とほぼ同じ長さに仕立てる事ができます。垂先と手先だけを裏側に折り返します。裏は別布を持ってくるとその代金がいるので帯芯が見える方法で仕立てる場合が多いです。

名古屋帯だけど 袋帯の長さとかわらないように仕立てる

金糸 銀糸 

金属糸をつかぅた帯金糸は漆を接着剤にして和紙に金箔をはりつけ、それを裁断し糸にするという方法で作っていました。もちろん手作業なので大量生産はできません。銀をつければ銀糸なります。その糸をどれだけ使うかで値段は変わるでしょうが 和紙、漆、金箔と聞くだけで高いと想像できます。現在でもこの方法で金糸は作られています。現実の帯の値段を考えるとそのような糸が使われているとは思えません。

 


西陣織の証書京都西陣は帯の産地として代表する町です。数年前から「西陣織産地証明証紙」が変更になりました。従来は西陣織ではなく「正絹」と掲載されていたのですが、金属糸が含まれているのに正絹とは?とお上からの指摘です。証明証紙の他に 糸の内容も掲載する方向で決まったようです。製造者は手間がかかることになるのですが、これも時代の流れだと思います。

太い界きり線

手作業の金銀糸を作る時代から大きく変わったのが、昭和30年代です。 重工業の技術が導入されました。薄い「ポリエステルフィルム」に金属を蒸着させて細くカットします。それと芯糸を撚り合わせて作る方法で、たくさんの金銀糸の生産が可能になったそうです。芯糸は用途により 綿、レーヨン、ポリエステル、ナイロンなどが使われます。金属はアルミニウムが性能や価格の面で一番使いやすい金属だそうです。フイルムを着色して金色などを作ります。

ちなみに 金属ではプラチナの次に金が高価です。プラチナ糸を使用している袋帯は確かに高いです。金糸でほんとの金を使っていると「本金」といいます。プラチナも金も着色しません。金色は黄金色や赤みのある金色があります。本金の色は銀や銅を混ぜて色を変えるので着色とはちがうということです。

このように金銀糸の原料はいろいろありますが、 品質表示に実際の帯に使われる原料の割合を表示します。正絹を除いた原料が全体の5%以下の場合は簡略される場合もあるようです。

よりをほどく前の糸
西陣での表示が変更されたので 他の産地にも影響があります。西陣織ではなくとも それなりの表示がされる方向になります。金銀糸風の掲載があります。この風というのはなんぞや!?と思いますが・・・。本金じゃないから「風」になるらしい。金銀糸は色が金色や銀色という意味で認識すればいいと思うのですが・・・。
ネットで帯を購入する人もいる時代ですから 表示が正絹だけでなく 金属糸の割合などが表示されるのはよいことだと思います。あくまでもその帯の全体に対して金属糸が何割あるという表示です。 芯糸がナイロンならばナイロンの表示もあります。西陣織組合は証紙に組合番号の掲載もあるので問い合わせることはできます。私は西陣の関係者でもなんでもないですが、昔を思うと安い金額の帯がたくさんあります。ネットで金額を見ると参考上代が70万 販売価格は15万があるかと思えば 有名老舗メーカーのネットショップでは120万で売っていたりします。何を信じていいのかわかりません。

 

片面平金糸

 

このページを作るにあたって 京都金銀糸振興協同組合のトップの方が大変丁寧に質問に答えてくださいました。私一人ではこのページはできませんでした。プラチナや金がはいっているはいっていないで価値を決めるのは間違いだという思いを深めました。金銀糸は摩擦に弱いので 帯の結ぶ位置にたくさん使うとかえってよくない、胴とお太鼓部分にいれるような帯もあるということです。現在 本金を主に使うのは神具や仏具です。老舗のお店では 本金以外の金銀糸を「まがえ」と呼ぶところもあるそうで、「まがいもん」なんてことをいいますが、着物や帯に使用する糸が「まがえ」だから悪い品というわけではありません。
帯の値打ちは どこで判断するかですが、機械のない時代は当然手機です。そういう時代の帯をお持ちの方は貴重な品です。普通ごみにださないで、古着屋さんに売る場合でも 大切にあつかってくれるお店 、手機をわかるようなお店にひきとってもらっていただきたいです。もちろん手機は今もあります。手機の職人さんが少ないから昔の人と同じ技術があるかどうかはわかりません。祖母の帯がすごーく貴重な品かもしれないのです。

 

金属糸の拡大
できあがった帯の外見を見るだけで 手機か機械織なのか判断はするのは難しいです。帯を長年作っている人ならわかるのでしょうが・・・。
みかけ金ぴかですが、安い帯があります。着付けをしている人のお話を聞くと 「昔の帯はしっかりしているので、結ぶのはたいへんだった、それに比べれば今の帯はやわらかくて楽だといわれます。ただ 何人も成人式の日に帯を締めると手先が荒れる。」という感想をきいたこともあります。何が原因かわかりませんが、金銀糸は重工業製品です。洗浄が不十分なのかもしれません。日本国内では人件費が高いので、生産を外国にお願いし、さらに 安価に作るためには糸量を減らすわけです。。みかけは「ぴかぴか」、帯地は「ざっくざっく」というのがあります。基本は見るだけじゃなく、手にとって比べることかなと思います。同じ着物に値段の違う帯をあわせてみる、じっくり見ると 違いがわかってきます。といっても 帯だけがよくても着物の品質が悪いと・・・・・・。

昔の帯と最近の帯 経糸をくらべた写真
上の写真の帯は生地の端を比べたものです。古い丸帯は金糸を織り込んだ部位ではありませんが、糸の密度が違うと思いませんか?安い方の帯は下の丸帯が透けて見えています。そして スイスイと緯糸がほどけます。まるでミシンで縫ったスカートのまつり縫いみたいにほどけます。丸帯は緯糸をしっかり打ち込んでいます。緯糸をぬくのに音がするんです。ところで 安い帯というのは その時はよくても 年をとってくると 安物やなぁと感じます。ちょっとは成長した証しですが、逆にいえば その時はその程度の見る目しかなかったことになります。当時 この金額しか出せなかったというのならばしかたのないことですが、もうちょっとだせる余裕があったと思うと後悔します。

京都金銀糸振興協同組合 →
京都金銀糸工業協同組合 →

金 プラチナを買い取るお店がありますが、帯を持っていても買い取りは無理です。本金を使っていたとしても 量が少なく機械では調べられません。金以外を溶かすような溶剤につければ とることはできますが 一般の人には取り扱いできない溶剤です。手間ばっかりかかって ちょっとしかとれないはずです。ただ 世の中のいらない 本金をつかった帯を全部あつめれば なんとかなるかもしれませんね。 (・・;)

帯編6 真綿びき

丸帯

丸帯の芯をぬいてはじめてみた方法です。現在 真綿びきをするお店はあるかどうかわかりません。私の学校で帯芯の入れ方を習いましたが この方法は教えてくれませんでした。

真綿びきとは 帯芯の上に真綿を重ねて綴じるのです。目的は 帯生地と帯芯が離れないようにする為 真綿の厚みで 帯がふっくらとした仕上がりになるのでいれます。

芯に綿がついている

 

 

この丸帯に入っていた芯(右上)と現在の木綿の帯芯を比べてみたものです。丸帯の帯芯は帆の生地みたいに分厚いです。

芯だけの写真

この丸帯は全体で12キロほどありました。この重さはかなりのものです。帯を結ぶだけで 汗がぼたぼた落ちます。それで なんとかやわらかい帯にしたくて とりあえず帯芯をぬいてみました。帯生地で7キロちょっと 帯芯は5キロです。

丸帯の裏側

 

上等な帯は裏側に糸が渡っていない。昔 帯の裏側にたくさん糸がでているほうが上等な帯なんていう呉服屋さんの説明を聞いたのです。織り方にもよるかもしれませんが 手織りの帯は裏側もきれいなのだそうです。この帯の裏側は確かに裏ですが 紋様がはっきりとわかります。
現在の帯芯は片側が起毛している帯芯と 起毛していない帯芯があります。 起毛しているのは帯芯と沿いやすいといいます。
真綿をひかなくなったのは なぜかよくわかりません。真綿びきそのものを知る人が少ないのですからあるなしを判断する力がないと思います。 真綿をひくのは手間がかかり、技術もいるので もしそれをするなら 芯入れの料金を今より多くいただかなくては割があわないのではないかと思います。
裏側にたくさん糸がでているような帯は真綿びきをすると再び芯をぬく時に 綿と裏糸がからみあうので 取るのに大変かもしれません。

丸帯拡大写真

 

絹の帯芯は軽いですがキッチンペーパーをもっと上等にしたような感じです。絹の帯芯を入れると帯がふっくらします。真綿びきはこの効果があると思います。