自己紹介

管理人の自己紹介

短大を卒業して京都の和裁学校に5年間学んだ後 独立致しました。国家検定2級 職業和裁検定2級に合格しました。普段の仕事は呉服屋さんから仕事を預かって納めています。 25年ぐらいになります。現在まで2500枚以上の着物を縫ってきました。学校は『男仕立て、東京仕立て』を教える学校でした。日本全国に仕立て方はいろいろあると思いますが、あとあとのことも考慮して合理的で丁寧な仕立て方だと思います。

男仕立てとは

男仕立てはくけ台やかけはりを使いません。仕立てのよしあしは くけ台を使う 使わないには全く関係がありません。それぞれの仕立て屋さんの腕です。しいていうなら 必要な道具が少ないというだけのことです。

東京仕立て

東京仕立ての他に 京仕立て 名古屋仕立て というのがあるのですが 教えていただいた京都の先生に どうちがうのか聞いても 学問的に的確に教えて下さった人はなく 「ほとんど変わらないという返事」。 優劣をいう必要は全くないと思っています。

合理的で丁寧な仕立て方

他の仕立て屋さんが縫った着物の部分直しをさせていただく時があります。 そうした時に他の知らない仕立てを勉強することになるのですが、 その縫い方の中には よくないと思うような縫い方に遭遇することがあります。 織物は縫うことによって 生地が傷むことは確かです。 できるだけ生地が傷まないように縫う事も必要です。 一方で 力のかかる部分をまとめて縫うような縫い方は いいと思えません。 合理的で丁寧な仕事というのは 男仕立てとか東京仕立てがいいといっているのではありません。

古着を売るコーナー

着物が好きな方 着物を知りたい方 着物を買いたい方にわかりやすくをモットーに着物あきないを運営しております。私も含めてですが、着物を見にお店に行くと店員さんに囲まれていやな思いをする場合があります。そんなことからネットで購入する人もいると思うのです。ところが、ネットの古着屋さんでの掲載は商品の情報不足を感じます。写真の雰囲気だけで判断してのページがたくさんあります。特に ネットオークションでリサイクルショップが依頼主の代行で出店ている場合には、中身の検品など全くしていません。
どこの産地でつくられた反物まではわかりませんが・・・。私がネットをみる時に これぐらいの情報は掲載してほしいと思うことを掲載します。ページに掲載するのはボランティア 料金はいただきません。送料は負担していただきますけど 着ないと思ったら返品してください。着ていただける方にお渡ししたいのです。

仕立てたり部分的に直したいというご希望がある場合は あらためて仕立てご依頼の方にメールください。

仕事場

仕事部屋こんな所で仕事をしています 。畳み一畳ほどの仕立て台、(こて) おもし ものさし 。一般の方があまり目にしないものもありますが 縫い物をした経験がある人ならばご存知のくけ台という物がありません。これが男仕立ての大きな特徴でくけ台の代わりに自分の足を使うのです。右利きは左の足で布をはさむということをします。正座をして縫い物をしないので、正座をするとすぐに足がしびれていまいます。ご存じない方が多いので正座が苦手だというと「和裁をしているのになぜ?」とよく聞かれます。正座をしないで和裁をする人もいるのです。

御服屋ということば

ホームページを作るにあたっていろいろな本を読んでいました時に昔は布を売る商売と仕立ての商売は区別されていて仕立てを生業とするお店を「御服屋」 「御服所」と呼んでいたそうです。
古くは延喜式に官人の装束を縫う部署を御服所とし,天皇の衣類も生産したそうです。
江戸時代になるとたぶん越後屋ではないかと思いますが生地が決まったら、その日の内に仕立てますというサービスをはじめたのです。お客は便利になるので当然喜びます。こうして呉服屋で仕立ても頼むというのが徐々に浸透し現在のようになりました。昔は呉服屋と仕立て屋は対等の立場だったといわれても過去の事としか思えません。
ほんの少し前の時代は着物を普段に着る人も多く、学校で裁縫の授業は必須でしたので、女子は浴衣の一枚ぐらいは縫った経験がありました。残念ながら家政科はダイエットや介護の方が支流になってしまいました。社会情勢を考えるとそれもしかたないという気がします。
和装も洋装も両方着ていた時は呉服屋にも余裕があり、阿漕な売り方は難しかったと思います。洋服に比べれば着物は高価です。呉服屋に頼りっきりでは損をします。最近は安価な着物も多いですが、そのような着物は長い目で見れば損です。着物の良さをいかせる買い方をしてほしいです。

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丸染め 1

丸染めとは

正絹の着物を染め替えたい時に 「着物をほどかず 染色する」という方法。

条件は 正絹 であること 正絹でないと染めかえできません。つまり「絹と化繊」などの交織の生地ですと正絹だけ染まります。裏生地が化繊ならば染まりません。縫い糸が正絹ならば 縫い糸も染まります。縫い糸が化繊ならば 染まりません。

丸染めのメリット

仕立て代が必要でないので、従来の染め替えよりも安くできるということです。

丸染めのデメリット

ネットでは 多少、縫い目のツレや、縮みが出ます 。とか 上等なお着物はやめた方がいい という説明です。


この丸染めの説明は一枚の丸染め着物を見て作っています。一人のお客様からの提供がありました。この丸染めは呉服屋さんを通して行われたものであり、ネットでも複数のお店がこの方法を紹介しています。
その前に 正絹の基礎知識や着物の仕立てについて知る必要があります。仕立てたまま「どぼん」と染料につけて染め直すので、 「どぼん染め」 といわれるかもしれません。 この方法に疑問を感じるのは家で着物を伸子張りした世代だけなのでしょうか?


正絹の特長

正絹は水につけると多かれ少なかれ縮みます。(物によっては縮まないものあります。)どれほど縮むかは生地によります。よく縮むものは縦方向で 1割 縮んでもおかしくないそうです。160cmの身丈だったら 16センチ縮んでもおかしくないということです。横方向はものさしで測ったわけではありませんが、 半分ぐらい になっているのではないかというのを見た事があります。並巾で36.5センチ~38cmぐらいあります。これが半分ぐらいじゃないかと思うぐらい縮むのです。
正絹の着物はけっして 縮むから悪い生地とうことではありません 。糸の種類や織り方で縮むのです。絹は水によく反応するから 美しく染められるし、染め替えることができます。
「丸洗い」というのがあります。着物をほどかずに綺麗にする方法です。揮発剤をつかって綺麗にします。水は使いません。汚れの種類には水溶性と油性や複合的なもの、不溶性のものと四種類あります。湿気の多い日本では汗をよくかきます。汗は水溶性の汚れなので水で洗う方が綺麗になります。口紅やファンデーションは油性ですので揮発剤を使います。汚れの程度によっては水を使わないと綺麗にできない場合があります。着物全部を水で洗うならば、洗い張りになります。つまり着物をほどいて端縫いをし、反物の状態にもどしてから洗うのです。
ドライクリーニングは湿気の少ないヨーロッパで最初にできたと聞いたことがあります。日本はどうしても水溶性の汚れがあるので ドライクリーニングでも水を使う場合があります。

着物の仕立て方の特長

洋服は糸を見せる仕立てをします。着物にも「飾りじつけ」や「ぐし」といった糸を見せることもありますが 表側に 「縫い目を見せない。」のが着物の仕立てです。糸も摩擦で弱るのです。裏地のある袷では表も裏も縫い目はほとんど見せません。
「きせ」 があります。着物の出来上がり線よりも内側に縫い目があります。着ている時に力がかかって縫い目の部分の生地が引っ張られます。きせは車のブレーキペダルのあそびと同じ役割をしていると思っています。
縮んだ生地はどうするかですが  蒸気をあてながら ひっぱることで元の大きさにもどすことができるのです。 洋服は型紙を置いてその型紙に縫込み分をとり あとは裁ってしまいます。和服はそのようなことは絶対しません。 生地の耳は必ず残します。 耳を残しておかないと元の巾にできなくなります。


ご紹介する着物は一つ紋の色無地です。ピンクから赤紫に丸染めをしました。表生地は紋意匠縮緬 裏地は 八掛けがパレス胴裏はよくわかりませんが羽二重?かなという感じです。実はそれまで 丸染めというのは全く知りませんでした。最初のきっかけは「裄だし」です。丸染めの方法を聞いて 「見えていない部分まで綺麗に染まっているのだろうか?」と心配になりました。でも 実物を拝見すると そんなに違いはないのです。これが「正絹の浸透力」なんだと関心しました。染めむらはないので 裄は広くできると思いました。でも ほかの仕立ての状態をみてこれではだめだと思いました。もし 仕立て屋がこんな仕事をしたら 誰も雇ってくれないでしょう。普通に仕立てて このようにしろといわれてもできません。着物の生地は多種多様です、必ず この色無地のようになるわけではありませんが、多かれ少なかれ このようになっておかしくないと思っています。


染めたあと、この色無地は 「縮んだ」と思います。三種類の生地はそれそれ縮み率が違います。染め上がった状態では表と裏の大きさが異なるへんてこな着物が染め上がったと思います。そしてこの着物を元の寸法にもどさなければなりません。蒸気アイロンを使って 横に縦にと伸ばすと思われます。
当然のことですが 伸ばす起点はそれぞれの縫い目になります。 例えば 背中心に「重し」を置いて 蒸気をあてながら左脇や右脇をひっぱって巾をだしていくと想像します。


全形の写真三枚

丸染めした後の一つ紋色無地 表の後側から 表の前側から そして裏側をひっくり返して撮りました。
表側からの写真を見ると 普通に見えるかもしれませんが 裏側からの写真を見たら この時点で 「なにこれ?」 と思う人もいるのではないでしょうか? 仕立て屋だけかな? 裏側は 「よれよれ」で「ぼこぼご」です。
丸染めした着物 後ろからの写真
丸染した着物 前から
丸染めした着物 裏側

見えていない部分まで染まっているのかを見る。

着物で一番重なっているところは 掛け衿の部分です。 見える部分は表側の掛け衿と裏側の胴裏という生地です。実際には 掛け衿の下には地衿があり その中に 衽の生地と 前身頃の生地があります。
裏衿の胴裏と掛け衿を縫い付けている部分をほどいて、中の部分をひっぱりだしました。ピンボケの写真もありますが 肉眼では色の大きな差はありません。衿の中だけではなく 袖付の中も写真に撮って見ました。
掛け衿の部分

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掛け衿の中の部分
掛け衿の中の部分 衽が見えるところ

袖付の中側

前置きが長いですが、悪い部分だけを強調したくはありませんので 次のページが悪い部分の話です。

丸染め 2

色無地 表側の仕立てについて

残念ながら 丸染めする前の寸法は不明です。大きなところを採寸すると 袖丈1尺4寸 身丈肩から右が4尺2分、左が3尺9寸7分 です。最初から左右の寸法が異なっていたのかどうかはわかりませんが、身丈が肩から4尺ほどということは身長150cmぐらいの人の身丈です。この着物は156cmの人の色無地でした。身丈の寸法はお店によっては異なりますが、通常156cmある人は肩から4尺1寸5分の長さにはすると思います。今は肩から4尺2寸あってもおかしくありません。この着物は一つ紋の色無地です。つまり礼装ですから、足袋を隠すように着るので、身丈は長く必要です。丸染めで身丈が短くなった可能性が高いです。

前頁の全形写真ではわかりませんが もっとアップにするとわかることがあります。「きせ」がほとんどなかったり、縫い目が見えている部分があるのです。

脇裾 縫い目がみえている

 

↑ 上の方にいくときせがないのがわかる左脇の裾部分です。
よく見ると縦のラインが左脇です。下の方は縫い目が見えませんが 上にいくと 縫い目が見えています。縫い目が見えるような仕立ては普通しません。

「きせ」 の巾を他の着物と比べてみる。

 

きせのある脇の部分

脇のきせなし

身丈や袖丈をどうやって伸ばしたのか?

着物の形のままに丈を伸ばすのは至難の技だと思います。ただ この色無地に関しては おそらくこのようにして丈を伸ばしたのだろうと推測しています。 染めた後に 袖と身頃ははずしたのではないかということです。少なくとも袖付の裏側をほどきました。
この着物の裏側の袖付は和裁士からみると異常な方法で袖付をしています。裏側の袖付の縫い目がででいるのです。何かをするためにほどいて いい加減な人が 裏側だから見えないからいいだろうと ザクザク縫ったという気がします。

袖付の裏側 縫い目がみえている

 

 

最初に説明したように 身丈が完全にもとのサイズになったのかどうか疑わしいです。袷の着物というのは 吊った状態の加減を見ます。表側にふくろがはいるような仕上がりにしてはいけないのです。同時に 裏側のゆるみにも頃合いというのがあります。前頁の全形写真ではわかりにくいのですが 裏側からの裾の写真を拡大して撮りました。

前身頃の裏側ですが 裏側にたくさんのゆるみがはいっているのです。後身頃はこれに比べると微々たるものです。仕立て屋は裏側には同じようにゆるみをいれます。これは いくらなんでも多すぎます。表と裏のつりあいが悪い時は「八掛けと胴裏のはぎの部分」で縫い直して調節します。着物の表と裏のつりあいがよくわかっていない人が仕上げたのです。

裏のゆるみがおおすぎる