和裁基礎1 尺貫法

着物の物差し

和裁は今でも尺貫法を使います。メートル法は細かすぎて、人間の服を縫うには不便な単位です。着物は洋服ほど細かい単位は必要ないということです。

鯨尺とメートル法のものさし

 

鯨尺

明治以降メートル法が採用されます。尺貫法は日本人の暮らしや体格からうみだされた尺度です。現在の和服尺は「鯨尺」といいます。大工さんが使う曲尺(かねじゃく)とは違います。江戸時代には呉服尺と鯨尺が使われていました。曲尺は「1/33m」曲尺の1尺2寸が呉服尺の1尺で約36.4cmだそうです。日本国中統一されていたということではないので、地域によっては曲尺を使う所もあるようです。このホームページは鯨尺を採用しています。仕立てる時も鯨尺でいたします。メートル法と尺貫法ではきれいに割り切れません。微妙に寸法が変わります。換算表も若干数値が異なります。仕立て屋は伝票では厘の単位はかきません。実際に縫う時に厘の単位を使います。ご自分の着物の寸法をそろえておきたいならば,尺貫法でおぼえておく事をおすすめします。

和裁で使う単位

尺貫法
1分×10=1寸
1寸×10=1尺
1尺×10=1丈
1寸=約3センチ8ミリ
1分の半分=5厘
その他の単位
1メートルは2尺6寸4分
1寸=1.5インチ(inch)
1インチ(inch)=2.5cm

例)
68センチの裄
68センチ×2.64=180 つまり 1尺8寸0分

例)
1尺7寸5分の裄
1尺7寸5分×100÷264=66 つまり 66センチ

※ なぜ 明治政府は度量衡の変更を行ったのか? 現場の不都合は考えなかったのか?こんな疑問が浮かびます。昔はメートル法のものさししか売ることが許されない時もあったのだそうですが、強く政府に要望がだされて 職人は使ってもかまわないということになりました。ただし 義務教育の現場では使われないのです。

尺貫法が使えるようになったのは 2016年7月にお亡くなりになった永六輔さんの働きかけがあったからと聞いています。どんな風にお役所を説得したのか存じ上げませんが 昔の度量衡を使って仕事をしている日本の職人は 永さんに足をむけてねることはできません。

着物の物差しがわからない呉服屋がいます。尺貫法がわからないだけでなく 女物の着物や羽織 一枚縫うのにどれぐらいの丈が必要だとか、名古屋帯に必要な丈はどれぐらいなのか そうした事を知らないのです。尺貫法で知らなくても 何メートル必要なのか知っていればいいのですが、それも知りません。それが店の社長だったら 他のスタッフが苦労するわけです。スタッフが辞めていき、新しく入る人がいても 長続きしない。悪循環です。