江戸褄

江戸褄と留袖

江戸褄は江戸時代の小袖の模様の一種です。現在は小袖ではなく長着を着ますが、留袖のことを江戸褄ともよぶこともあります。京都の島原模様が衿の先から衽にかけて模様があるのに対抗して 褄だけに模様があるのを江戸褄と称しました。もともとは褄だけの模様ですが、現在では 裾模様のことを江戸褄と呼んでいます。既婚女性の正装にこの模様が使われるようになるのは文化文政時代(1804~1829)からだそうです。下の図には掲載していませんが 江戸褄ふき模様または裏褄模様または裏両褄模様というのもあります。つまり裏の裾に模様が配置されているのをしめします。

江戸褄の詳しい模様の説明は 本によって微妙に異なります。どれが正しいのかはわかりません。
江戸褄後掛け模様(えどあとかがりもよう)を大江戸褄または新江戸褄模様ともいいます。江戸褄腰高模様は江戸褄腰掛り模様と同じである。第二次大戦後にできた、派手な柄ゆきを職人が区別してよんだようです。
図とは異なる名称を掲載しておきます。
江戸褄模様は図では上前と下前になっていますが、上前と前身頃になっている。
江戸褄両褄模様は図では上前と下前ですが、上前と下前と前身頃の模様となっている。
江戸褄片模様が図では上前の模様ですが、江戸褄下前模様と同じ、つまり下前だけの模様となっている。
江戸前褄模様は図では上前と前身頃ですが、前身頃と下前の模様として、江戸褄片裾模様としていたりします。
このように若干異なりますので 検定では注意した方がいいのではないかと思います。

留袖の柄

腰高の模様は若い人向きの柄であるという説明がよくあります。反対意見をいうつもりはありませんが、残念ながら現実の事情はかなり違います。昔は結婚する時に喪服などの着物をひと揃えしたものでした。今は 着物をそろえる人も少なく、留袖を着る機会も少ないです。結婚の年齢も高くなっています。20代で結婚し 自分の子供の結婚式に着るまでに、何度か着る機会があり、孫の結婚ぐらいになるとさすがに結婚した時の留袖の柄は若いので、低い模様の留袖を購入する。こんな事が昔はあったと思います。今はちょっとそういう人は少数派でしょう。
留袖を購入する時に、年をとっても着れるようにと 地味な柄を購入するよりも、その時 いいと思う気に入った柄の留袖を買って、機会があれば 二度三度と着ていただきたいですね。

江戸褄後掛り模様

江戸褄模様

 

江戸褄腰高模様

江戸褄両褄模様

江戸褄片褄模様

江戸褄前褄模様

タイトルとURLをコピーしました