中級編8 八掛け 裾回し

ハゴロモギク属

八掛け 裾回し

八掛けの種類

八掛けの種類
正絹 普通生地用 無地 ぼかし
紬用 無地 ぼかし
そのほかの柄もの
化繊の八掛け 無地または柄がある

八掛けの金額はお店によって違いますが、手間のかかる分 無地よりぼかしの八掛けの方が高く、紬生地の八掛けの方が高いです。紬生地の方が製造に手間がかかるのです。 ところが 手間がかかるということを理解しない人が多いことと 紬生地の方が擦り切れやすいことで 表が紬生地でも 普通生地の八掛けにする呉服屋が多くなりました。紬生地の八掛けの製造がますます 減って 多様な色が製造されなくなりました。そうなると ますます 色がないので 紬生地の八掛けが使われなくなっていくという 負のスパイラルに陥っています。

仕立て屋からすると 表が紬生地なら紬生地の八掛けにした方がいいとはっきりいえます。擦り切れやすいといいますが 擦り切れるぐらい着たら 他の部分も汚れたりしているだろうから 洗い張りしてきれいにした方が 長く着物を楽しむことができます。着物の加減が悪くなるということを理解しない人たちがたくさんいます。最初のうちはきれいでも どんどん型崩れがおきていくということを感じないのです。

自分で八掛けの色を決めたいというお客様も少ないです。表生地が決まってから八掛けは決めますので、昔のようにたくさん着物が売れた時代には 呉服屋の店内に八掛けを置いていましたが、現在は表生地が売れた後、八掛けの見本帳から選んで取り寄せる方式です。お店は在庫をおきたくないし、保存に気をつかう必要がないからです。
見本が小さいのでイメージしにくいです。八掛けが何かさえ知らないお客様もいるので、お店が選ぶ事も多いです。「どんな色にしますか?」と聞いても「よくわからないので任せます」と言われるお客様もいます。これはとても残念な事です。色あわせは着物選びの楽しみの一つです。自分の好みが決まっていても店員に意見を聞くのはおもしろいです。人それぞれの選び方が参考になりますし、その店員の実力もわかります。

既製品の八掛けでは 満足できない時、オーダーもできます。この方法は時間がかかります。

八掛けという名称

前身頃✖2 後身頃✖2 衽✖2 衿先✖2 合計八枚の生地でできているので八掛けといいます。今 「八掛け」は10枚の生地をとります。つまり袖口布の二枚分もとります。これは昔 おそらく袖口布を八掛けとは別の生地でとっていた証拠だと考えています。

ぼかしの八掛けができた理由

袷の着物の裏側

ぼかしの八掛けは江戸時代はありませんでした。表生地の色は濃い色しかなかったのです。はっきりといつとはわかりませんが、表生地に薄い色の物が商品化されました。表が薄い色で、裾回しや胴裏が濃い色だと、せっかくの薄い色に裏地の色がうつってしまいます。それで紅絹の胴裏ではなく白色の胴裏ができ、八掛けは着た時に見える部分だけを染めた「ぼかし」が作られました。

ぼかしの八掛け

ぼかしの八掛けにすると不思議と表側に八掛けの色がうつっていないとはいいませんが、気にならなくなります。

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