和裁初級5 界きり線

青い花

界きり線

  1. 界きり線には三種類あります。いずれも仕立てる時には残布にしたり 見えないように仕立てます。どんな物でもあるというわけではありません。また 帯の界きり線は仕立て屋さんによっても違いがあるようですし 表に見えるように仕立てるように作っている帯もあります。
  2. 生地の端にさまざまな証書や織り方の名称、商品の番号などが記入されています。そうした製品の名前のような部分が終わると本来着物として使う布の部分が始まります。その境にある印を界きり線とよびます。生地の端から端まで横に線があります。
  3. 付け下げや訪問着などの身頃、袖、衿が決まっている着物には「すみうち」という印のほかに左袖、右袖、右身頃 左身頃 衿衽の裁つ位置を端から端まで区別して染めわけている時があります。衿と衽は部分的に縦方向にも線が入っています。このような線も界きり線といいます。裁つ位置を示すもので 表にだすものではありません。見えないように仕立てます。
  4. 着尺や小紋の反物の半分の所に横に印があります。この界きり線が一番重要で見落とすとたいへんです。数は少ないのですが 反物の自体の真ん中の位置に横糸を周りとは違う糸で織っている物があります。距離を置いて二本織り込んでいるものもあります。一見 地模様に見えますが そこにしかなければ界きり線です。
  5. 反物は10メートル以上ある長い物です。その長い物を一度に染色するのはたいへんな事なので 半分ずつにわけます。これによって中心で柄が異なったり染色した色が微妙に変わったりします。ほとんどが修正されますが 中には修正できない時もあります。現在では反物の真ん中に界きり線ができないように工夫されて染色されるようになりました。従って 界きり線のある反物はまれです。まれ だからこそ注意しないといけません。気が付かないで仕立ててしまうと身頃や袖のどこかに一箇所だけ妙な横線がある着物がうまれます。
  6. 界きり線は見える所に持ってこない方法は一つしかありません。見積もる時に反物の両端から袖と身頃を一枚ずつとって真ん中で衿衽をとるようにします。界きり線の存在を見抜ければ見積もり方の組み合わせが限られるので柄ゆきを比較的簡単に判断できます。落款が反物のどちらかの端に描いている時には中央に界きり線はないはずです。もしあれば生産者のミスですが そのような反物は経験がありません。

界きり線が中央にあったときの裁ち方 本裁ち

界きり線が中央にある反物の裁ち方図
現在 反物の中央に界きり線がある反物は少なく ほどんど見かけません。しかし 少し前の時代にはよくありました。70才以上の方の着物を 下世代の娘が 仕立て替える時に 身頃に界きり線がでてしまっている着物がありました。その場合 たまたま 仕立て替えたいのが羽織だったので 界きり線を隠す事ができました。仕立て替える時も しっかり検品する必要があります。

帯の界きり線ですが 界切り線の写真があるページ御服屋 帯5 金糸 銀糸

 

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