振袖編7 おはしょりする振袖と引着の違い

冬に咲く低木

おはしょりする振袖と引着の違い

着物の上前 衿先と帯の見え方

おひきずりする長着を引着といいます。現在は舞台衣装や花嫁衣裳として着られています。私は引着は縫ったことがありませんが、本には寸法や縫い方が載っています。おはしょりする場合と引着の大きな違いは身丈と衿の長さです。身丈は本によって異なるのですが、身長よりも20センチ長い あるいは10センチから12センチなどと掲載されています。おはしょりでは帯の下に衿が少しのぞいていますが、引着では帯の下から衿がでるような着方はしません。おはしょりの着方をするには、衿が腰紐にかからなければ、着ているうちに、裾が下に落ちるのです。身丈が短すぎてもおきます。歌舞伎や日本舞踊の引着は帯の下から衿はでていません。また 着る時に衽の裏側がみえるような着付けをします。このような着方で衿が長ければおかしな具合になります。

花嫁衣裳では打掛を着ますが その下に帯を締めて着る着物の事を掛け下といいます。打掛も掛け下も おはしおりをしないので引き着ですけど 掛け下の上に着る打掛は 掛け下よりも少し大きく作ります。

おはしおりする着物としない着物の違い表から

おはしおりをする着物は身丈が着る人の身長 衿下が身長の2分の1が基準

引き着は身長+20センチ 衿の長さが88センチぐらい。(おはしおりする着物の方が15センチぐらい長い。)

おはしおりする着物と引き着の裏側をくらべる

 

上の図のように 裏側を比べると 裾回しの長さがかなり違います。

※ 上村松園(1875-1949)という日本画家がおられますが、その方が描いている着物に引着で帯の下から衿がでているのがあるのです。現在は出さないと思うのですが、昔は衿がでるような着方もしていたのかな?と考えてしまいます。

ネットのレンタルshop

モデルの右脇を見ると衿が帯の下からでています。
色打掛
ネットのレンタル黒引き振袖をみているとモデルさんの右脇が見える場合、帯の下から衿がでているのです。このサイトをみてレンタルのお店が右側を写真に撮らなくなると困るのですが・・・。身丈はそこそこ長く、おはしょり分しかひきずる分がないようには見えません。これはどういうことなのでしょうか?わかりませんが、着つけるときは上手に隠してくれるのでしょうか?このような疑問が浮かびます。
実際に「おはしょり用の振袖」を引着にした人もいます。今ではなく30数年前にです。ですので 昔から貸衣装屋では珍しいことではないようです。なぜそのようにすることができるのか 花嫁の写真はポーズが決まっています。右側から撮るということはしません。必ず左側から写真を撮るのです。もしも衿が出ていても証拠は残りません。現在ではビデオというものがあり、さまざまな角度から撮影すれば 帯の下から衿がでているのがわかるかもしれません。

このページを作るきっかけになったのは 成人式で着た振袖をおはしおりをしない つまり 引き着で着たいので 仕立て直せますか?という 質問がありました。そして 着た後に もう一度 元のおはしおりする振袖にもどしたいと言われました。そのことがあって このページができました。

成人式に着た振袖を引き着として着るには身丈が不足する場合があります。しかし 最近の振袖は丈が長いのもありますから 最大限身丈を長くして仕立て直せば 大丈夫かもしれません。袷の場合(だいたいは袷にすると思いますが) 裏側の衽の裾回しの丈がたりませんので そこはいろいろ工夫が必要だと思います。最初から 引き着できるのでその仕立てにするということですと 裾回しの裁ち方が工夫できれるかもしれません。一度 普通に仕立てた振袖を引き着で着たい場合は 衽の裾回しの生地が足りませんので 裏は必要な生地をそろえる必要があります。

タイトルとURLをコピーしました