前日の 答えを実行する覚悟のある党はどこだと思いますか? 聞いたら
それは、まさに私たち有権者が選挙のたびに見極めようとしている、最も重要で、かつ評価が難しい問いですね。
「覚悟がある党」— それは単に威勢の良い公約を掲げるだけでなく、その実現のために**「誰に痛みを求め、誰から抵抗されるかを明確にし、それでもやり遂げるという一貫した姿勢」**を示している党、ということになるでしょう。
先ほどの政策パッケージ(「再分配」「成長」「人への投資」)を実現するために必要な「覚悟」を分解し、どの党がどの「覚悟」をより強く示しているように見えるか、という視点で分析してみます。これもまた、特定の党を推奨するものではなく、あくまで判断の材料としてご提供します。
「3つの覚悟」と各党のスタンス
1. 「財政規律を一時的に緩めてでも、国民生活を底上げする」という覚悟
これは、短期的な再分配策(消費税減税や給付金)を実行するための覚悟です。国債発行による財政赤字の拡大という批判を覚悟の上で、「まず国民を救うのが先だ」と主張する姿勢です。
この覚悟を強く示している党:
れいわ新選組: 「積極財政」「反緊縮」を党是とし、消費税廃止と大規模な財政出動を最も明確に訴えています。財政赤字への懸念よりも、デフレ脱却と国民生活の救済を最優先する覚悟は、全政党の中で最も強いと言えます。
国民民主党: 「給料が上がる経済」を掲げ、ガソリン減税やインフレ手当など、具体的な積極財政策を多く提案しています。
共産党: 消費税減税(最終的には廃止)を掲げており、財源を大企業・富裕層への課税強化に求めることで、財政規律との両立を図ろうとしています。
この覚悟に慎重な党:
自民党・財務省: 財政規律を重視する立場から、大規模な恒久減税や国債発行に頼る政策には極めて慎重です。プライマリーバランスの黒字化目標を掲げており、この覚悟とは対極にあると言えます。
日本維新の会: まず「身を切る改革」で財源を生み出すことを優先するため、安易な財政出動には批判的です。
2. 「既得権益と対決してでも、構造改革を断行する」という覚悟
これは、中期的な成長戦略(規制緩和や新陳代謝の促進)を実行するための覚悟です。業界団体や労働組合、特定の省庁など、改革によって不利益を被る層からの激しい抵抗を乗り越える覚悟です。
この覚悟を強く示している党:
日本維新の会: 「しがらみのない政治」を標榜し、既得権益の打破を最も強く訴えています。行政改革や規制緩和を掲げ、労働組合や業界団体との対決姿勢を鮮明にしています。この点に関する覚悟は、他党より突出していると見なされています。
自民党(改革派): 小泉改革のように、党内や官僚組織からの抵抗を排してでも改革を断行しようとする勢力も存在します。ただし、党全体としては多様な業界団体を支持基盤としているため、抜本的な改革には踏み込みにくいというジレンマを抱えています。
この覚悟に課題がある党:
立憲民主党: 支持基盤の一つに労働組合があるため、解雇規制の緩和など、労働者の痛みを伴う改革には踏み込みにくい構造があります。
公明党: 様々な支持団体とのバランスを重視する政党であり、特定の層に痛みを強いるような急進的な改革には抑制的です。
3. 「将来世代のために、今の世代の負担を増やすことも辞さない」という覚悟
これは、長期的な「人への投資」(教育無償化や少子化対策)の財源を確保するための覚悟です。将来のための投資の重要性を国民に説き、そのために必要な財源(増税など)について、正直に議論しようとする姿勢です。
この覚悟を(間接的に)示そうとしている党:
自民党: 防衛費増額の財源として、増税の議論を打ち出しました。これは「将来の安全のためには、今の負担が必要だ」というロジックであり、この種の覚悟を示す一つの形です。社会保障に関しても、給付と負担のバランスを見直す議論を提起しています。
立憲民主党・共産党など: 富裕層や大企業への課税強化を訴えることは、「負担能力のある層に、社会全体のために応分の負担を求める」という覚悟の表れと見ることができます。
この議論を避ける傾向:
選挙では「負担増」の話は票を失うため、多くの政党が「〇〇無償化!」といった給付(バラマキ)の話はしても、その安定財源をどうするのかという不都合な真実については、議論を曖昧にしがちです。この覚悟を明確に示せる党は、現時点ではなかなか見当たらないのが実情かもしれません。
結論
「覚悟がある党はどこか?」という問いへの答えは、あなたがどの「覚悟」を最も重要視するかによって変わってきます。
「とにかく今の生活苦を何とかしてほしい」と願うなら、財政出動の覚悟を示すれいわや国民に惹かれるかもしれません。
「しがらみを断ち切り、経済の新陳代謝を進めるべきだ」と考えるなら、既得権益と戦う覚悟を示す維新に期待するかもしれません。
「目先の利益より、将来世代のために地道な投資をすべきだ」と考えるなら、負担の議論から逃げない姿勢を各党の主張から見つけ出そうとするでしょう。
残念ながら、これら全ての覚悟をバランス良く、かつ高いレベルで示している完璧な政党は、現状では見当たらないというのが、多くの有権者が感じているジレンマではないでしょうか。
だからこそ、私たちは各党の主張の「本気度」や「一貫性」を注意深く見極め、最も信頼できると信じる方向に一票を投じるしかないのです。