単衣長着の身丈なおし

残布が残っていない。他の生地を使わない。今あるだけの生地を使って身丈を伸ばす方法を説明します。図は女物単衣長着で紹介していますが 男物の単衣長着も衿形が違いますが他は同じです。

内揚げの位置と縫いなおす為にほどく位置

身丈を伸ばすには 内揚げが前後身頃に両方あること。 内揚げの長さは外からわかります。四か所あるうちで、一番短かい長さの倍が理論上伸ばせる長さです。

 

単衣の身丈のなおしでみる位置

 

身丈を伸ばすにあたって ほどく位置は黄色の線で示していますが、衿はもとの仕立て方によって 全部ほどいた方が早くて 綺麗に仕立てられる場合もあります。

衽の縫いこみの位置

衽と衿の縫いこみはほんとの長さを確かめるには ほどく必要があります。 ほどく位置を間違えるとなおすのが大変です。安易にほどかないほうがいいです。上前衽と下前衽両方を確かめます。赤色の衽のように剣先のすぐ上にしか縫いこみがなければできません。青色の衽のように肩山近くまであれば6寸(23センチ)ぐらいの長さがあります。

両方の衽の長さを確かめる

総絵羽では 衽にも身頃の内揚げと同じ位置にあげがある場合もありますが、めったにないと思います。

衿先の縫いこみ

両方の衿先の縫いこみを見ます。
身丈を10センチ伸ばすとしても 衿先の縫いこみが10センチ必要とはかぎりません。衿の長さは身丈と褄下の長さによって変わります。もとの着物の寸法と伸ばしたい寸法 着る人に必要な褄下の長さから 衿に必要な丈はいろいろなので それぞれ見るしかありません。

衿先の縫込みがあるかどうかをみる

単衣長着の身丈なおし 裏側

背伏せ

単衣長着には背縫いを背伏せという生地でくるんで仕立てる方法があります。身丈を伸ばすと背伏せには余分な生地はありません。従って 身丈を伸ばすと 背伏せは新しくつける方法しかありません。背伏せは同じ物は用意できませんので そこだけ色が違うことになったりします。

背伏せをたす

居敷当

居敷当はいろいろな仕立て方があります。内揚げを伸ばすことによって、居敷当にも影響がでます。内揚げと重なっているような部分は縫いなおしが必要になります。居敷当も余裕があるわけではありませんので、伸ばしたら多かれ少なかれ生地が足りなくなります。

居敷当の縫い直し 丈が短くなる可能性がある

女物袷長着 身丈をのばす

表生地と同じだけ裏生地に余裕があるわけではありません。
表側は単衣と同じです。内揚げ、衽、衿の縫いこみを見ます。裏の縫いこみは胴裏の方にあります。 胴裏の身頃の縫いこみは2寸5分から3寸ぐらいです。八掛けは見えている部分の他は最低限の縫いこみだと思って間違いありません。
身丈を伸ばす時に 身頃の胴裏の縫いこみは表と裏のつりあいを調節する役目もあるので1寸ぐらいは残しておく必要があります。従って2寸5分の縫いこみがあれば1寸5分 ふくろがはいりにくい生地ならば 2寸(7.6センチ)ぐらいが伸ばせる長さです。

表側に縫いこみがあるけれど 胴裏が足りないという時は 普通は胴裏の交換になります。 ないところだけ 「つぎはぎ」してくださいと言われたら やれないことはありませんが 普通はしません。

女物の袷長着の身丈直し

胴裏の縫いこみは外から見ることができます。衽の縫いこみは八掛けとつながっている部分だけでなく、表側と同じように 剣先の上にもあります。たくさんあるかどうかはほどいてみないとわかりません。

身丈を伸ばす方法

  1. 袖をはなして 身頃の表と裏をはなす。 表の身丈を縫いなおし 裏を表にあわせて縫いなおす。最後にまとめる
  2. 袖は離す。裾の部分はそのままにして身丈をなおすという方法
  3. 袖をはなさないで身丈をなおす方法。

1番の方法は時間はかかりますが 一番綺麗に直せる方法です。この方法をすると一枚縫うのと同じぐらいの時間になります。
2番の方法は 最初に縫っていた人の縫い方に影響されずに縫いなおせるので この方法もやりやすい方法です。裾を縫わないからといって大幅に時間を短縮できるわけではありません。
3番の方法が主に行う方法です。この方法は必要な部分をほどいて縫いなおす方法です。袖が付いている事で 縫いなおしにくいです。前と同じところを縫わないと 巾がくるってしまうからです。

※ 袷の着物の身丈を伸ばすような仕立て替えは できあがりの事を考えれば 全部 ほどいて 筋など完全に消してから直すことが一番全うな方法です。