布を継いで身丈を伸ばす方法1

巾はあって、丈が足りない場合の説明です。
親などから譲られた着物は身丈が短くて着れない時があります。別布を継いだり、残り布があればその布を使って、身丈を伸ばして着ます。
男物は帯巾が女物より狭く、対丈で着ます。伸ばしたい長さにもよりますが、継いだ生地を見せないように仕立て直すのは難しいです。継いだ生地が見えないようにするならば 女物でも限度があります。

継ぐ前に最初に考える事

「生地を継ぐだけの価値がある着物かどうか見定める。」必要があると思います。特に遺贈では 思い入れも強く 着物として着たいと願う事はよくわかるのですが、元の持ち主の愛用品で、何回も着ていると生地は傷んでいます。とれないシミや色やけだけでなく、古着を通り越して「ぼろ」になっている事もあります。身銭を切る価値がある着物で仕立て直しをしてほしいと思います。

継ぐ生地について

理想は残り布を使うことです。残り布は行方不明になることが多いですが、残り布があるなら、その生地で継ぎます。残り布を着物と同時に洗い張りにだしてください。長く別々にしている事で、着物と残り布の色が違ったりします。
多くの場合、別布で継ぐことになります。できるだけ同じ種類の生地をつかいます。全く同じでなくても、紬には紬、ちりめんにはちりめん、お召にはお召と同じ種類の生地を使う方がいいです。
同種の生地を継ぐ理由は種類によって収縮率が違います。箪笥に保管しているだけでも 湿気を吸います。質の異なる生地を継ぐと仕立てた直後はよくても、長年たつとその影響が全くないとはいえません。また丸洗いや汗抜きをする場合、質の異なる生地が継いであると、普通の着物より作業が難しくなります。
呉服屋さんからすれば「儲かる仕事」ではありません。従って呉服屋さんの度量がないとできません。着物の生地は基本的に一枚分を仕入れます。継ぐ生地の丈と一枚分ではかなり違います。一枚の反物を継ぐ生地に使えば残った生地の方が多くなります。それを在庫としてかかえ、次の同じような依頼があるまで きれいに保管しておかないといけません。
着た時に見えない位置に継ぐとしても、全く違う色の布をいれるわけにはいきません。時には継いだ生地が見えるかもしれないからです。同じような色みに染める必要があります。実際に仕立て直しをする前に「元の着物の生地と継ぐ生地を十分吟味してください。」

「継ぐ位置」と「仕立て」と「着用」

今まで 何度か 別布や残り布をつかって身丈を伸ばしました。仕立てにはとても神経を使います。通常2日で縫える物が3日かかったりします。その理由は普段しないことをするからというだけでなく、呉服屋さんからは「洗い張りされた着物」と「継ぐ生地」と「仕立て上がり寸法」が渡されるだけです。身丈を継ぐ仕立てで同じ物は一つとしてありません。見えない位置を考えるだけで、簡単に時間が過ぎます。
元の着物の丈、ほんとの着物の寸法、着物の着方で、継ぐ位置が変わります。
ほぼ 一発勝負の世界です。

袷か単衣か

絽や紗などの夏物の着物以外は袷に仕立て直した方がいいです。単衣の場合は継いだ部分の縫いこみをほつれてこないようにしなければなりません。袷の場合は裏生地があるのでその必要がありません。継ぐ生地は単衣より袷の方が少なくてすみます。

布を継いで身丈を伸ばす方法2

寸法の見方はおおむねこのようにします。

  1. 現在一番寸法のあっている着物の寸法を測る。
  2. 実際の着丈を測る。
  3. 裾の位置から腰紐までの寸法を測る。
  4. 身丈-着丈
  5. 内揚げの位置を見ながら、帯に隠れる寸法測る。
  6. お端折りを調節して着る場合はお端折りをどれぐらいあげるかを測る。

女物の長着を着て腰ひもを結ぶ

1から6までの寸法がわかれば 伸ばしたい着物の寸法を測ります。仕立てた状態の着物では正しい寸法はわかりませんのでほどきます。ほどく段階で生地の傷み具合もわかります。生地の端をひっぱると生地が裂けたりした場合は生地の寿命とみることもできます。
身丈は肩から測ります。背からにすると衣紋の抜き加減で身丈がかわるからです。
裾から腰紐までの長さも同じです。一番長く裾を着た時は、後ろから足袋が見えないように着ますが、前はそれより少しあげます。そうしないと歩けないし階段では裾を踏んでしまいます。前の方が裾からの丈は短いはずです。もう少し裾をあげて着ると前をあげて着るとあげ過ぎになります。

内揚げの位置に継ぐ場合

身頃の継ぐ位置は内揚げで継ぐ場合

腰紐で結ぶ位置

内揚げに入れるのは帯で隠れるからですが、もう一つの方法は 腰紐の結び位置で継いで、お端折りの中側にする方法です。

腰ひもを結ぶ位置で継ぐ場合

内揚げの位置だけにするか 腰紐のところに継ぐか 両方するかは元々の身丈と着る人の必要な身丈によってかわります。

下前衽と下前身頃について

下前衽は着た時に中にはいる部分です。多くを継いでも見えません。下前身頃も上前身頃ほどは継いだ生地が見えません。基本的に着物は左右対称ですが、継ぐ生地の丈によっては 、下前の見えない部分の生地を上前の方に持ってくる場合もあります。従って 左右対称にならない場合もあるということです。

上前衽が足りないので下前衽の生地で継ぐ

衿は掛け衿と地衿に分かれます。衿もさまざまな方法がありますが、最終的に掛け衿より少し下がった下前衿に別布をいれても着た時には見えません。衽の生地が足りない時、衿の生地から衽をたしたりすることもあります。上前衿の衿先の方に別布をいれると見えてしまうので、衿に別布をたす時は下前の衿か掛け衿の下になってみえないところにいれます。

下前の衿に生地をつぐ

布を継いで身丈を伸ばす方法3

帯を締めた上から見えない丈をはかる場合の注意点

内揚げの位置に別布を継ぐ時に 帯を締めた所でその寸法を測る時があります。

帯の隠れる位置

目安になるのが掛け衿の長さです。帯を締めた状態では内揚げの位置はわかりにくいです。掛け衿から帯の上の部分までの寸法を測ります。
注意したい事は掛け衿、衽下がりの寸法は全国共通ではないのです。通常呉服屋さんが着物を預かって寸法を測る時は衽下がりや掛け衿の寸法は測かりません。掛け衿を基準に帯の位置を測られても「衽下がりと掛け衿の長さ」がわからなければ意味がないのです。


内揚げに別布を継ぐ時の注意点

見えないように内揚げ位置に継ぐ生地の丈はいかほど?目安は伊達締めの巾です。

伊達締めの巾
伊達締めの巾は約2寸5分 10センチほどです。 この寸法を目安にしても継いだ生地が見えてしまう場合があります。

衣文をあまりぬかない場合は内揚げラインがまっすぐ
↑ 衣紋をあまり抜かない、胸が大きくない人は内揚げの位置が前後であまり変化がありません。理論的に内揚げの位置で伊達締めを締めて、前後で内揚げの位置が変わらない人は伊達締めの巾分をいれることができます。

衣文をおおきめにぬくと内揚げラインが下がる

↑ ところが衣紋を大きく抜く人や胸が大きい人は前後の内揚げの位置に差がでます。差が大きければ大きいほど 継ぐ生地の丈が狭くなっていきます。
上の事を解決する方法があります。前身頃と後身頃それぞれにあります。