着付け 半襟の見せ方 

ガザニア

前から見た時の半衿の見せ方

半襟の見え方を変えた

↑鎖骨の少し上にある おさえたら痛い所の名前は 鎖骨上窩(さこつじょうか)というのだそうですが
その部分で衿をあわせる または そこのすぐ下で衿をあわせます。写真の向かって左側と真ん中は鎖骨上窩の所で衿をあわせています。そして 上に着る長着の衿を調節して 半衿を見せたり見せなかったりしています。 向かって右側は 長襦袢の衿を鎖骨上窩よりも 下にあわせています。このように 着る時に、衿の着方を変えられるのが着物のいいところです。そして 衿の着方で 下品にもなるし 上品にもなります。

後から見た時の半衿の見せ方

後ろから見た時の半襟の見せ方
衿の後ろ側はどのようになっているのでしょうか?簡単にいいますと半衿は長着の衿から『 引っ込める 』のか『 だす 』のかという事です。答えは着る方の好みで決めればよいです。今は衿巾までリクエストする人はめったにいません。白色の半衿を付ける人の方が多く、基本は長襦袢の衿巾の方が長着より狭く仕立てます。私の場合、長着の衿肩周りの巾は1寸5分、長襦袢の衿肩周りの巾は1寸4分に仕上げます。仕立て屋さんによって長襦袢の衿巾のひかえ寸法は異なるようですが、長着の衿より広くはしません。比翼が付いている時は広衿で長着は3寸、比翼の衿は2寸9分に仕上げます。これをそれぞれ半分に折って着ます。
着物で衿元は重要な部分です。図のように半衿を衿肩周りでも出す時はそれなりに豪華な刺繍や柄の入った半衿をつける時の方が良いと思います。ここで一番のポイントですが、出す時には長襦袢の衿巾の方を広くするということです。そのようになっていない着物を無理やりだす着付けの人がいます。よく知っている着付けの人は無理やり出したりはしません。おたづねすると無理やり出すと衿が綺麗にならないのでしませんとお返事がありました。
以前に聞いたことですが、名古屋で友人の結婚式に出席した時、振袖を着付けてもらったら、半衿を出そうとしたので「出さないでください。」というと「そんなに地味でいいの?」といわれたそうです。名古屋の方を悪くいうつもりはありません。名古屋では振袖の半衿は出して着る方が一般的な事かもしれません。私は京都の和裁学校で習いましたが、長襦袢の衿巾は長着より狭くすると習いました。大阪でも仕立て屋さんによっては振袖長襦袢の衿巾を広くする人もいるようです。名古屋で着付けてもらった人は和裁士で自分で縫った振袖です。振袖長襦袢の衿巾がせまくなっているのに無理に出して着付ける事に違和感があったのです。

半衿を衿肩周りで出したい時はどのようにするのか

  1. いかなる時でも半衿を出して着ると決めた方は呉服屋さんや仕立て屋さんにその主旨を伝え、最初から長襦袢の地衿巾を広く仕立ててもらえばいいです。
  2. 出したり控えたりいろいろしたい方は広衿にする事をお薦めします。長襦袢の広衿は着慣れない人には面倒な事です。そこで長着の方で調節します。私の場合、長着の広衿は3寸で1寸5分に折るようにスナップやひき糸をつけています。着る時には半分にするということです。それをもう少し折りこんで着るのです。衿巾は狭くなりますがその方が無理なく着付けられます。長襦袢の衿巾がどのようになっているかを見てから長着の衿巾を考えてください。
  3. 長襦袢の地衿はそのままで半衿だけを広く付ければいいと考える人がいるかもしれませんが、半衿だけ広くするというのはおすすめしません。半衿と地衿の間に隙間があると衿肩周りのところで半衿がゆるんでしわがたくさんでます。半衿の付け方には二つのポイントがあるのですがその内の一つです。隙間はあけない事です。バチ衿の方は着付けの腕で対処するしかありません。うまくごまかして着るということです。仕立て屋としては寸法があっていなければ綺麗に着れないはずですというしかありません。現実は衿肩周りでづれて着ている人もよくみかけます。着方がうまくないのか寸法があっていないかはその人それぞれです。

スナップがついた広衿

長着の広衿でスナップがついています。スナップの大きさにもよりますが、スナップの位置を変えれば衿巾を変えることができます。慣れた人は折るだけで着る人もいますが固定させた方が無難です。
『ひき糸』になっているのもあります。ひき糸が重なるとからんでしまうのでよくないですし、一般の人は持っていないのでスナップで付けてください。

引き糸がついた広衿

「ひき糸」がついている広衿です。スナップやひき糸はお店や仕立て屋さんによって違います。衿の中心で一箇所付ける時と肩周りの部分にも付ける時があります。比翼が付いている時は位置を少しずらしてつけます。ひき糸の方がごろつきませんが薄物の時には引いた紐を衿の中にいれないと背の方に垂れ下がり、外から見える時があります。

長襦袢の衿長襦袢の衿

長じゅばんの衿の図です。半衿は下の位置で地衿が見えないように広めにつけています。長襦袢の衿巾は半衿の巾ではなく地衿の巾がポイントになります。半衿がついているならばちょっとめくって地衿巾を測ります。右側の図で赤い線の所で半衿と地衿がすかないように付けてください。半衿を出して着たい方は長着の衿巾より1分広いぐらいでいいのではと思います。4ミリほどです。

重ね衿(伊達衿)について

重ね衿重ね衿は比翼の一番省略形ともいえます。半衿と長着の衿の間に少しだけみせて衿元を豪華にみせます。振袖に使われる事が多く。重ね衿自体が複数の布を重ねている物もあります。写真は一色のものです。市販の物はクリップがついていて半衿の方に止めます。半衿と重ね衿と長着の衿の色あわせは帯、帯締め、帯揚げ、を含めた全体の色や着物の持つ雰囲気をよく見て決めることをお薦めします。

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