紋の種類
表紋(日向紋) かげ紋(日かげ紋) 染め紋 切り付き紋(江戸付き紋) ぬい紋 絞り紋 などの種類があります。そのほか 特殊な紋として伊達紋 加賀紋 比翼紋などがあります。当サイトでは文様のコーナーで少ないですが、紋を紹介しています。
紋の位置と寸法
- それぞれの紋の位置は着物の種類に関係なく同じです。長襦袢に紋を入れる人はいないと思いますが長着も羽織もコートも同じ位置です。
- 子供物の一つ身、四つ身は大人より体格が小さくなるのでその分少し変わるだけです。
- 肩山、袖山、掛け衿の下からの位置がそれそれ起点です。
- 紋の大きさは男女で違いはありますが、一枚の着物にすべて同じ大きさの紋をいれます。
- 男物は背紋と袖紋の高さはほとんど同じ高さです。
- 女性の場合 出来上がり繰越巾によっては背紋が袖紋より下の位置にくる場合もあります。
名称 | 本裁ち男女 | 四つ身 | 一つ身 |
背紋下がり | 衿付より1寸5分(5.7センチ) | 1寸3分 | 1寸 |
袖紋下がり | 袖山より2寸(7.5センチ) | 1寸7分 | 1寸5分 |
抱紋下がり | 肩山より4寸(15センチ) | 3寸5分 | 3寸 |
紋入れを入れる前に
- 紋は一つ紋でも最低二つは入れます。背は縫い目があるので、右後身頃と左身頃に一つずつ入れる必要があります。(背縫いがない場合は一つです。)
- 紋章というお仕事をする人もいろいろです。昔はすべて手描きでした。最近は 型を使う方法が多いです。手描きと型では型の方が少し安くなります。型ではしていないという紋章業者さんもいらっしゃるかもしれません。
- 一般的には呉服屋さんをとおして注文します。
縫い紋の種類
- 縫い紋にはステッチの違いで けし縫い すが縫い まつい縫い こま縫い さがら縫いがあります。
- 業者さんによって名称に若干の違いもあるようです。
- 縫い紋の色やステッチはご自身で希望をいうことができます。値段も違いがあります。
- 一般的には地色と全く同じにすると紋があるかどうかわからないので同色にはしません。
- 着物の地色より濃い色や反対色などいろいろです。
- 最近はミシンの縫い紋が多くなってきました。ミシンの縫い紋はかたくなります。手縫いの方が生地になじんでいいのですが、料金の安いミシン縫いに技術がどんどん良くなっているのが現状です。
- 危惧するのは 手縫いの紋の技術者がいなくなることです。
日向紋と陰紋
上記は三つとも「二引き」の紋です。向かって左から日向紋、日陰紋、縫い紋です。武士の第一正装は裃です。裃には日向紋をいれますが、武士が公務ではなく私的に外出する時には日陰紋を入れた羽織を着たりしました。このようにTPOに応じて紋の使い分けをしたのです。もちろん町人も同じです。
石持(こくもち)について
黒留袖や喪服や黒紋付は紋をいれる所を白い丸にして地色を染めません。これを石持と呼びます。石持になっていない所に日向紋などをいれようとすると一度生地の地の色を白に変えなければなりませんがその時の技法を染め抜き紋といいます。濃い色や染色の方法などで上手く日向紋が入れられないときがあります。このような場合は縫い紋にする方が無難です。