羽二重
羽二重の織方図
縦糸を二本に緯糸が一本交差する。後練り織物または生絹織物です。つまり生糸を織ってから精錬します。乾式の織り方と湿式の織り方があります。湿式の方が難しいですが 良い羽二重が織れます。緯糸を濡らして織る方法です。強い織物ができるそうです。当然 濡らして織る方が料金的にも高いです。
羽二重の語源 用途 産地
日本の独特の絹織物 古くは帛と呼んでいた。帛という言葉が絹布の意味があるので、絹布の代表でこんな名前で呼んでいた時期もあるということみたいです。羽二重の語源は織機の筬羽(おさば)1羽に縦糸二本通して織ることに由来する。輸出向けと国内向けがある。軽めのものは衣料品だけでなく 絶縁材料にも使用される。産地は年間を通して湿度が高く、その変化が少ない北陸地方が適している。福井県産の胴裏は評価が高く ネット販売でも福井県産の胴裏は高いです。絹織物は明治以降 日本の輸出品として重要な位置にありました。
羽二重の単位
この単位は尺貫法が廃止されてから特例として認められているものです。ほとんどの胴裏にこのような単位の表示はありません。どのような製品でも製造する場合は基準があります。羽二重の場合 匁(もんめ)という単位を使います。真珠も使われているそうですが、国際的にも通用する単位で、カラオケと同じ、日本で使われていた単位が国際的にも通用する。絹が日本の主要産業だった証明です。今はほとんどの人が知りません。
胴裏は14匁 16匁 18匁 という重さのものを使用します。
巾鯨尺1寸×たけ鯨尺6丈の大きさの布が37.5g あると 10匁 精錬後の重さです。
14匁=52g 16匁=60g 18匁=67g 20匁=約74g
織り元さんが羽二重を織るときに使用しています。
メートルになおすと巾約3.7センチ 長さが22.7mが60グラムあると16匁ということです。つまり細くて長ーい生地の単位です。これでは実際にどれだけあるのかわかりません。
小巾は約1尺(37センチ)の巾があります。
一疋の大きさが巾1尺で長さ6丈だとすると16匁では600gあるはずです。
商品によってサイズはいろいろです。一疋の長さは6丈8尺以上はあります。
大雑把に計算してみます。
例えば 品質:絹100% 長さ:25.9m 幅:37cm 目方(重さ):約850g
と掲載されている商品があったのですが
何匁であるかを計算してみてください。大雑把ですが 37センチ×22.7メートル=600グラム で16匁です。丈が3.2m長いだけで(25.9m-22.7m=3.2m)重さが850gあるのです。
着物の胴裏は16匁か14匁を使用します。18匁を使うのはちょっと重いのが好きな方です。20匁は一般の着物には使いません。
こんな胴裏は困る
簡単にほつれる胴裏は選ばない!これが一番大切です。
「ほつれる」というと生地の裁ち目部分から縦緯の糸がぬける状態を想像します。生地の織り方にもよりますが 胴裏で簡単に糸がぬけるものはそうありません。他にもほつれる現象があります。
1 縫製時に針の貫通のために糸がスリップ(滑る)する。
2 縫い合わせ部分に力が加わったために織組織から糸が脱落する こともさします。
またJIS規格では滑脱抵抗力として評価する方法を規定しています。要はすぐ破れるようでは困るのです。縫う時にスリップすると糸の横に細かい線ができます。
2番目の例の写真です。
左の写真は上の長襦袢の黄色で囲んだ部分を拡大したものです。背縫い部分がほつれた例です。拡大したのが左です。よく着物を着れば生地がわれてきます。特にお尻からひざぐらいの間でおきます。この胴裏は5年間で数回着ただけでこのような状態になったのですから安物の胴裏だったのです。何回も着れば 表生地でもおきます。対処方法は生地がやぶれる前に ほどいて 目われをなおしてもらいます。目われがひどいと、完全に元の生地にはなおりません。なおらない場合は 仕立てでやりくりします。例えば 前後の身頃を交換します。
※ 20代に振袖を何回か着たという方は振袖長襦袢のお尻の部分を見てください。居敷当の部分です。振袖は着る期間が10年ぐらいと考えて 上等の胴裏を付けていない場合が多いです。
見分ける方法
耳の部分を横方向に爪を立ててひっぱる。写真のように耳が割れます。買う時に実際に確かめることができるか!! 勇気がある人はできます。お店の人に許しを得てからした方がいいでしょう。内緒でして、その現場を見られたら商品をキズものにしたといわれる可能性もあります。お店の方はしてもらいたくないでしょうね。写真をクリックすると拡大します。
果物で桃がおいしいかどうかを見るのに指で押す人がいますね。押すだけ押して、買わない人もいます。自分以外のお客様のことを考えていない人です。いかんよなぁー。胴裏も同じです。でもお店の人が自信満々でいい胴裏というのならば 少々耳をひっぱってもびくともしないはずです。湿式で製造している羽二重ならばこのようなことはおきないはずです。