和裁初級7 胴裏の裁ち方

青い花

女物長着の裏側 胴裏を使用する位置

青色の部分が胴裏の生地を使う所

色の部分は 裾まわし または 八掛けとよばれる生地を使います。
裾まわしについては次のページに掲載しています。広衿の裁ち方を掲載しています。ばち衿にするならば衿裏はいりません。

男物でも裾回しを使う場合は上と同じです。ただ 長さが違います。
小巾 女物長着 一枚分の裁ち方

小幅の胴裏の裁ち方 3方法
一枚ものは壱弐参のパターンがあります。赤い筋が裁つ位置です。衿裏の太い赤い線は最初から裁ち目になっています。一枚ものは弐の方法が多いです。パッケージに別衿付きなどと掲載されています。衽上と衿裏は必要分がほぼ決まっています。衿裏は4尺6寸 衽上は1尺8寸 あればいいのです。両方とも小巾の半分を使います。袖丈は1尺3寸(49㎝)が多く 身頃の方は裾まわしの長さと身丈によってかなり必要分が変わります。

壱の方法で裁つ胴裏であっても 条件によっては衽上の胴裏を使わずに裁てる時もあります。その場は 袖と身頃の生地が長くて たまたま 裾まわしの生地が長い 身丈が短い人だった などです。

弐の方法が圧倒的に多いのですが 弐の方法は 左右の衽上を横に並べてとります。
参の方法では 左右の衽上を縦に並べてとり 反対側で衿裏をとります。
衽上を縦に取ると1尺8寸の二倍で3尺6寸です。反対側の衿裏は4尺6寸必要ですので 1尺ほど衽上の生地にあまりの生地が生まれます。
あまり分がもったいないので一枚分の胴裏は弐の方法になっています。参の方法があるのは一疋の胴裏の裁ち方を説明すると理解できます。

最近の一枚分の胴裏は 不況の影響が色濃くあります。かなりの経済設計商品があります。丈や巾の表示も親切ではありません。たとえば 長さが8.5メートルと掲載されている胴裏をよくみます。弐の方法の衿裏別と掲載されていても 総丈が8.5メートルなのか 衿裏は別に8.5メートルあるのかわかりません。衿裏の丈が長くて、袖、身頃、衽上の生地が短い場合もあります。昔は 弐の方法で衿裏以外の生地が2丈1尺ぐらいありました。現在は2丈以上あれば長いと感じ、1丈9尺5寸というのもあります。昔なら考えられない短さです。袖丈が長め 身長が高い 裾まわしの丈がたまたま短い この条件が重なると一枚分の胴裏では足りないことがあります。

広巾 女物長着 一枚分の裁ち方

なぜかわかりませんが 関西ではあまり広巾は使いません。広巾の場合は裁ち目部分が多くなります。小巾になれていると縫製時に糸が抜けるのが気になってしまします。私は大阪なので 小巾ほど広巾の胴裏について詳しく説明できません。
広巾は小巾の倍の巾があります。衽上と衿裏は広巾の胴裏から見ると4分の1の巾が必要なだけです。
一般的に消費者が買う場合は 一枚分か一疋という単位です。一疋は3枚分が取れます。小巾で一疋はありますが、広巾で一疋というのは見たことはありません。もしかしたら関東ではあるのかもしれませんが、関西では小売のお店で一疋といえば小巾になると思います。

広幅の胴裏の裁ち方 一枚分

女物長着 一疋の裁ち方図

一疋の裁ち方は弐と参を混在させた裁ち方です。一枚目は弐の裁ち方にします。一枚目の衿裏の反対側から二枚目の衿裏をとります。三枚目は参の裁ち方にします。

製造の現場は知りません。
一枚分の胴裏が経済設計になっているといいました。
多くの一枚分の胴裏が弐の裁ち方をする別衿付きです。
織リ元は一疋のような単位ではなくもっと長ーい胴裏を織ります。
それを一疋や一枚分あるい長襦袢用 振袖用などに裁断します。裁断がどの段階の業者さんで行われるのかはわかりません。商品によって違うと思われます。
着物一枚分の衿裏の長さは4尺6寸あればたいていの場合は間に合います。
昔から衿裏の生地は長くあり、5尺以上あったのです。それが最近は5尺ぐらいになりました。
衿先布が短い時代もあったので衿裏がその分必要だったのかな?なんて思っています。
単純に一疋を3枚分に裁って一枚分の胴裏をパッケージにするわけではありません。まったく同じ商品の胴裏で、一疋と一枚分の胴裏で別衿付きの胴裏2枚分と参の方法になっている一枚分の胴裏を足しても 一疋と同じ長さになるとは限りません。一枚分の胴裏の裁ち方で説明したように衿裏が必要以上に長くあっても 他が短ければ役に立ちません。衿裏分を必要な丈にして 他を長くしてほしいと思っています。また 参の裁ち方や広巾の衿裏と衽上の生地が短い時があります。衽上が1尺5寸は足りないです。かなり背が低い人はできますが。そういう胴裏はなんとなくパッケージが薄汚れていて昔に購入したかお店の長く置いていた在庫品という気がします。

疋の胴裏の裁ち方

男物の胴裏

通し裏にしない時は女物と同じ方法です。男性は力も強いので、生地はしっかりしたものをえらばないと お尻の部分から簡単に「スリップ」がおきます。対丈で着るので 「ふくろ」がはいると女性と違って着付けでごまかすのが難しいです。くるいの少ない裏を使用するのが一番いいと思います。

呉服屋さんの胴裏節約術

  • 呉服屋さんは仕立てを外注します。(もちろん仕立てだけでなくいろいろなことを外注します。)仕立て屋にまとまった胴裏を渡して使ってもらう方法が一番簡単です。
  • 一疋よりも二疋を渡した方が合理的にとれます。衿裏と衽上を向かいあわにとらなくてすむからです。
  • 一疋で三枚分の着物が取れるわけですが、お客様の寸法はいろいろです。残布ができる時もあります。初めの一疋で3枚分と衽上分がとれたら その次の一疋は衽上一枚分必要ありません。こんなふうに次々とっていけば、結局は節約になるのです。
  • 胴裏の種類が多くなれば 複雑になってきます。料金の差があるからです。
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