男物の通し裏
男物は紋付羽二重以外は通し裏にするのが一般的です。表側にふくろがはいらないように裏地で調節する必要があります。表生地と同じように内揚げをします。 内揚げはふくろの調節だけでなく、将来の仕立てなおしに必要です。
内あげの位置は二通りあります。肩と腰です。
腰であげを作る方法
腰で内あげを作る時は左右前後に作ります。仕立て屋さんによってやり方はいろいろです。表側の内揚げの位置とほぼ同じです。表の内あげの量や裏の内あげの量でごろつかないように 位置を変えたりする時もあります
肩であげを作る方法 1
肩で内あげを作る時は肩山にしますので左右にあるだけです。しかし できあがってからはわかりにくいですが 方法はいろいろあります。
あげ全部を後見頃に倒す方法
あげを前と後に振り分ける方法
内揚げをどこにするのがいいか
肩か腰 どちらがいいのかはよくわかりません。
細い人ならば腰に内あげをもってきて少しでも腰に厚みがあるようにするとか。 肩に厚みを出したいならば、肩にすればいいのかもしれません。 肩こりならば肩の部分はすっきりさせた方がいいかもしれません。 仕立て屋さんの好みもあるかと思いますが、私の場合、どちらが好きとかやり易いという事がないので適当に気が向いた方で縫っています。
最近 他人が縫った袷男物の着物のなおしをして 肩で内あげをするより 腰の方がなおしやすいとわかりました。
男物の長着の通し裏について
花色もめんという生地を裏に使う時が多いです。もめんはかさばるとか重いと思う方は絹にされる時もありますが、個人的には絹はあまりおすすめしません。もめんに比べると絹は強度が落ちます。裏を絹にすると表地より先に裾が擦り切れたりします。通し裏のために縫い直しは手間がかかります。男物の裏地は種類も色も限られているのでお店側で表地にあった物を取り寄せる方式です。八掛けと同じように見本があると思いますので自分で選びたい時は見本を見せてほしいと申し出ればいいです。男物の裏地の色が何種類あるのかよくわかりませんが ピンクとかオレンジは見たことがありません。作っているお店で少々色は違いますが、おおむね下図の色です。黄色や赤はあるのかもしれませんが男物でそのような色の裏地で仕立てた経験はありません。
紬生地以外のやわらか物の場合は女物と同じように、八掛け生地と胴裏を選択する時もあります。この場合は 八掛けの色はたくさんあります、しかし 弱い生地にしてしまうと 男性は力が強いので 胴裏と同じように 生地がスリップします。生地が裂けてくるのです。裏地は丈夫な生地を選ぶというのが最優先事項だと思います。