付け比翼
現在一番一般的な黒留袖の付け比翼について説明します。比翼の寸法は上着の寸法から割り出します。従って上着を仕立ててから比翼を縫います。
付け比翼には大きく分けると袖に袖口布と振り口布を付けるタイプと下着袖(まる袖)といって上着の袖を少し小さくした袖を作るタイプがあります。身頃に付ける比翼も生地の丈によって少々裁ち方と布の使い方が異なりますが上着の裾回しになる部分と衿の部分に比翼が付きます。見た目を綺麗にするために上着の裾回し丈よりも長く仕立てます。
比翼は上着から出ないように付けます。従って 着た時に裾から比翼がでているような時は付け直ししないといけません。
現在は袖口と振り口をつける方が多数派だと思います。比翼の形は呉服屋さんの方針で決まる事が多く、それぞれの地域によって差があると思われます。昔は喪服も比翼をつけましたが不幸がかさなるといわれてつけなくなりましたが、どちらかといえば経済的な事が理由ではないかと思います。
比翼をつける前の黒留袖
比翼をつけたところ
付け比翼の構造
身頃部分
黒留袖の比翼は表裏両方共布で白色です。わかりやすいように表をピンク、裏をブルーに色分けます。比翼は表側が上着の裏と接する部分です。着る時には裏側の方が目に付くので、生地の難がある時には表側にします。これは通常の着物と異なる点です。下着を着ているように見せるのが目的なので着た時に見える部分は同じ形です。袖口や裾や振り口には「ふき」を作ります。衿は地衿をつまんだだけの掛け衿もあります。その他は図をご参考にしてください。袷の比翼で3丈から3丈2尺あれば作れます。
↓ 衿の裏側の生地が比翼生地を使う
↓ 衿の裏側の生地を衿先が比翼生地 その他は胴裏を使う
↓ 表側からみた比翼 赤ラインが長着につける部分
袖について
下着袖
上着の袖と形はほぼ同じです。袖付のところだけが少しちがいます。表側を下着の寸法にして裏側は少し出して絎けます。裏側から見た時に縫い付けている部分を見せないようにするためです。袖口の留の仕方も袖底の縫込みも上着の袖と同じです。
振り口布と袖口布
赤い線の所で上着の胴裏部分に縫い付けます。上着の袖口と振り口から比翼がでないように付けます。振り口布の巾は比翼生地の丈によりいろいろです。並巾の半分が一番大きい巾です。