内揚げを作る理由3
- 縫い直しする時にそなえるため
- 前後の身頃交換の時に身丈が短くならないようにするため
- 絵羽あわせで左右の寸法を同じにするため
- 裾線を整えて 左右の丈を同寸にするため
3 絵羽物の丈を調節する
肩山の位置と裾の位置 つまり上と下の位置が決まっている長着は着る人の身丈にあわせて仕立てる必要があるので、内あげで長さの調節をします。着物は背を中心に対称的になるのが基本です。細かい部分の長さ調節もひつようです。背の低い人の内あげの長さは大きいし、背が高い人ほど内あげは小さくなります。
4 裾の地の目
着物は地のめをとおすときれいに見えます。
どんな織物でも縦糸と横糸が精密に寸分のくるいもなく交わってはいません。地のめをとおすと長さを同じにすることが難しくなるので内あげを長さ調節に利用します。ただし どんな生地でも横に地の目をとおして仕立てるのではなく生地によっては地のめをとおしてはいけない場合があります。これを正確に判断するのが仕立て屋の仕事です。 詳しくは 和裁初級3「を参照ください。「中級編6 和服の構造2」は異なる事が掲載されています。
裾の地の目をとおして 内あげで調整する方法。
以上のような理由からほとんどの長着には内あげがあります。紬などの硬めの素材は地の目よりも生地のゆがみを重視します。緯糸をとおすとかえっておかしくなります。中には波うったような生地もあります。緯糸がどれだけいがんでいるかは裁ってみないとわかりません。背の高い方の身丈が短くなって仕立てられるのはもともとの反物の丈に余裕がないことに加えて、裾の柄をそろえたり、裾線を綺麗に仕立てるために内あげを作るからです。 昔は裏地の胴裏でも後身頃に内あげを作って前身頃と後身頃の交換ができるようにしていました。現在では胴裏に内あげをつくるような仕立てはしていません。