袋帯の芯の入れ方
帯芯の種類
- 三河木綿といわれる綿製の帯芯が主です。絽や紗などの透けている帯地の時にはカラー芯という白以外の色を使う事もあります。
- 帯芯には名古屋帯用と袋帯用があります。帯芯の堅さが異なります。名古屋帯用の方が堅い。
- 絹製の芯もあります。こちらは綿よりも柔らかく厚みがあります。仕上がりが木綿の芯よりも柔らかく ふっくらした帯となります。
- 季節による違いもあります。夏用 冬用 。
帯芯を入れる入れない
- 昔の帯はしっかりしていました。芯はいれなくてもいいような帯が多くありましたが、今の帯は芯をいれても昔の帯より軽くて軟らかいです。そうした歴史を知っていると 芯をいれないと後ろの帯結びの形が整わないと思います。
帯芯の入れ方は大きく分けて二つあります。
- 帯を中表にして、帯と帯芯を綴じてからもう一度表に返す方法。
- 端から帯芯を引き入れていく方法。ひっくり返すとしわになりもとにもどらないような帯の時にします。
1 袋帯の帯芯の入れ方
袋帯は両端を縫うまでは完了している場合が多いので、帯芯の入れ方を説明します。
- 帯の手先から手をいれて、たれ先までつかんだらひっくり返します。飾りのついた指輪は取ってからしてください。
- 中表にした帯を 1尺おきぐらいに巾を測っていきます。8寸1分とか8寸2分ぐらいですが、一番狭い寸法を覚えておきます。
- 帯芯をスチームアイロンで地のしします。
- 3で測った寸法より少し狭い巾 尺貫法では1分せまくしません。つまり8寸1分ならば8寸より少し大きめに帯芯を切ります。
- たれ先の出来上がりより1分外側を縫う。
- 帯の裏側をむけて たれ先の縫いこみの部分に帯心を重ねます。その時 出来上がり線に帯芯をあわせて綴じていきます。
- 帯の上に帯心を重ねます。
- 帯芯を1尺5寸ぐらいの間隔で1分ほどゆるませてから両端から5分内側を1寸間隔ぐらいで綴じていく。帯の裏側と帯芯だけ糸を通す。表側まで縫わないように!!綴じる糸の色は袋帯の裏の色と同じ。
- 全部綴じられたらたれ先の両角をしっかり出しておく。つまりは押しておく。
- 手先から手を入れて たれ先まで来たら帯芯と帯の裏をもってひっくりかえす。
- ひっくりかえしたら帯を平らにします。
- 床に帯を置きます。たれ先を誰かにのってもらいます。手先の両端を持ってあ(帯芯はもたないようにする)3回ぐらい ひっぱります。
- たれ先の方から縫いこみがきれいにはいっていることを確かめながら 反物みたいに巻いていきます。
- 手先の出来上がりより1分長く帯芯を裁つ。
- 手先を出来上がりに折って 帯芯を中に入れてくけるか千鳥ぐけをする
- 横とじをいれる。手先とたれ先それぞれに端から7寸はいったところを一寸間隔で表と裏に小さい目でとじる。糸は帯の表と同色の色
- 畳んで押しをする。
袋帯に芯を入れる時のポイント
- もともと袋帯というのは袋状になっていました。帯芯を帯にとめようとしても縫いこみがありません。
- 帯芯を入れる時はゆるみをもたせて綴じます。帯の中にある帯芯のほうが少し多めにはいっていることで 帯にはりがでるのです。
- 帯芯をひきいれるだけでは帯芯を均等にゆるみをもたせていれることはできません。
- 帯芯をいれているだけだと 締めているうちに 帯芯がごろついたりします。
- 出来上がった時は袋帯の裏側に綴じ糸が両端共に小さく見えます。
- 帯芯のいれぐあいは帯地によって違います。その加減をうまくするのがプロです。ゆるみをいれるとかえって悪くなる帯地もあります。代表が塩瀬羽二重帯です。
最近疑問に思った帯芯の綴じ方
現在の袋帯は袋状のものは少ないです。多くは表側と裏側の両端を縫っています。両端に縫い目があります。縫いこみの巾がいろいろで少ない物が多いです。5ミリとか7ミリぐらいで1センチもありません。
帯を裏向けて 裏側を見えるように置いて その上に帯芯を重ねて 帯芯と帯の裏側を綴じていくのですが、 表側まで綴じてはいけません。
ところでミシンで何か縫ったことのある人ならばわかると思うのですが
普通のミシンは生地の上になる方の加減が下よりも大きいと 縫い進めるうちに上の生地がたぶついてきます。あるいはタックがよって縫えます。また針は下までおりないと縫えません。手仕事の方法で普通のミシンでが帯芯と帯を綴じていくことはできません。ミシンというのは同じ加減のものは奇麗に縫えますが 一方にゆるみがあるとゆるみのある方を下において縫うしかないのです。ゆるみのある方を下にするとある程度のものならば縫うことができます。帯芯のゆるみになると下側に置いても縫えるかどうかはわかりません。
この場合 帯の裏側と帯芯をとめることができないので 縫いこみと帯芯をとめます。ミシンそのものを見たことはないのですが、あることに気づいて 帯芯がどのようにとめられているのか確かめるために手先をほどいてみたのです。
帯芯と縫いこみが綴じられていたのですがその縫い目が完璧なので ここまで完璧なのは 機械ではないかと思ったわけです。
あることとは 帯の表側に綴じ糸があったということです。縫いこみと帯芯をとめるのはいいですが 、表側の帯に綴じ糸があるというのは最低な話です。ひっくり返す時に帯の表側をひっぱるわけで 帯の織りが傷みます。表側にある綴じ糸は一箇所とかではなく ここもここもという感じでした。この帯芯を綴じた人は表側に糸があっても気にしていないのです。
リバーシブル帯つまり両面使える帯のことですが、この場合は縫いこみと帯芯を綴じた方がいいとは思いますが、私の習った時には 主に使う方を決めてもらって 裏の方に綴じていました。
最近 袋帯に帯芯をいれる仕立てを依頼した方 帯の端を左右からゆっくりとひっぱって広げるようにしてみてください。端から全部の両方共です。順にひろげていきましたら 表側につっぱったような部分があれば 綴じ糸が表側にあることを証明しています。端からすぐ1センチ以内のところぐらいです。表側に綴じ糸があるならば、買ったところでなおしてもらいましょう。
あまりひっぱりすぎると つっぱった部分がなくなる時があります。それはひっぱったことによって 帯の方の糸が切れてつっぱらなくなったのです。
呉服屋さんは検品はしません。帯屋さんを信用しているだけでなく 帯芯の入れ方は知らないのですから、みられるはずがないのです。
帯の芯の入れ方にはいろいろある。
私が習った帯芯の入れ方は 袋帯は裏にいれる。名古屋帯は表に入れる でした。ある帯屋さんに聞くと帯芯は表にいれるのに決まっていると言われたのです。綴じるのが裏側というのは共通しています。図で説明 ↓
帯の仕立てにもいろいろあるのだと解釈しています。
縫いこみは以外にやっかいなものです。ひっくりかえしただけでは すべての縫いこみが同じ位置にこないのです。長ーい帯の両端の縫いこみの位置を整えないといけません。これがなかなかやっかいな仕事です。
帯芯と縫いこみをジグザクミシンのように綴じると このやっかいなことがなくなります。図で見て想像できますが 縫いこみの巾によって帯芯の巾も変わりますし帯巾よりも狭い帯芯になる可能性もあります。縫いこみと帯芯の綴じ方にもよりますが・・・。このページを最初に作ったのが2009年ですが 5年以上たった今 帯の仕立てにミシンを使っていてもめずらしくない時代となりました。ミシンでは難しい帯の仕立てがありますが そうしたもの以外はミシンを使っています。 帯の形に縫うのは昔からミシンでしていましたが 私がいうのは 「帯と帯芯をとじる」ということもミシンで行うようになっているということです。