子供物の着物の種類
- 子供の着物は大人と同じ 肌着 長襦袢 長着 羽織 被布 袴 などがある。
- 成長におうじて裁ち方を一つ身 二つ身 三つ身 四つ身 五つ身 と変える。
- 今は子供に着物を着せる事が少ないので一つ身裁ちと四つ身裁ちがほとんどです。
- 7歳ごろから六つ身(本裁ち)にします。大人と同じ裁ち方で寸法を変えて仕立てます。
- 成長にあわせて着物を作り変えるのではなく大きめに作って肩あげや腰あげをします。
- 祝い着の習慣として背守り、背紋飾りをつけます。昔は子供が生まれても死んでしまうことが多く、子供の魂は体の中にとどまっていないと考えました。魔物が憑りつかないようにと着物の後身頃に飾りをしました。
- 祝い着と普段着では袖の長さが違います。祝い着の方が袖が長く、用尺が必要です。
- 京都の恒例行事に十三詣りというのがあります。物の説明によると関西では七五三詣りよりさかんであると書いています。数えで13歳で詣でる儀式です。この時から肩あげだけで、腰あげはしなくなります。高校生になると腰あげも卒業し大人の着方になると思います。男性は対丈になるということです。
- 着物の部分名称など基本的なことは大人と全く同じです。着る時に必要な小物もほぼ同じですが伊達締めは使いません。着物についている紐を使います。
大人物と子供物の違いまとめ
- 肩あげ、腰あげがある
- 腰紐がついている
- 成長にあわせて裁ち方が変わる 。
- 衿の流れを曲線にしてつける 。
- 袖型に元禄袖(女児)船底袖(男児)筒袖 濶袖 大名袖 長袖といった種類がある 祝い着の袖は大名袖や長袖にします。他は普段着の袖型です。
- 繰越はない(成人女性にある)
上前の衿の写真です。
大人用は白い線つまりまっすぐに縫いますが子供は衿の流れを曲線に縫います。これを「はらませる」といいます。子供用は夜着たたみにします。本畳みにすると衿が曲線になっていること、肩あげや腰あげがあるので綺麗に畳めません。
袖型と名称の図
- 産まれた時は袖のない着物を着せます。つまりおくるみです。その後 袖のある着物を着せます。
- 上記の左の図は一つ身初着です。宮詣りの時にあかちゃんに着せるのがこの着物です。袖は濶袖です。袖口と袖丈が同じ長さです
- 宮詣りの掛け着の袖は大名袖といいます。大名袖は濶袖の中にはいりますが袖口が引返しになっています。表の袖と袖口布が分離していません。
- 中央の図は女児一つ身元禄袖。元禄袖は袖口のすぐ下から丸みが始まります。図は短い袖で もう少し長い袖で大きな丸みの時もあります。普段着の着物ということになります。
- 右の図は男児一つ身です。女児より振り口の長さが短く、袖底が丸くなっているのです。本によって船底袖や薙刀袖となっています。
- 一つ身とは背縫いのない着物です。赤ちゃんが立ってよちよち歩く頃になると一つ身の卒業ということです。
- 四つ身は五歳から六歳ごろに着るきものです。
- 男児は少し袖の形が変わります。より男の子らしくなるということなのでしょう。活発になるので袖をすっきりさせた方がいいという事かもしれません。袖底の丸みがなくなり筒袖になります。成人男性と同じように脇に開きがない筒袖は腰紐を通して着る事ができないので左脇に紐通し口を作ります。
- 長袖は祝い着の袖です。七五三宮詣りの時はこの袖になります。女児の普段着は引き続き元禄袖です。
子供物の裁ち方と年齢
- 子供物は同じ長さの反物で仕立てるというのではありません。
- 例えば一つ身といっても裁ち方に複数の方法があります。
- 袖丈、身丈、腰あげの丈 袷ならば八掛けを共布にするのかなどで用尺が変わります。
- 現実には三つ身を作りたいので必要な生地を売ってくださいと呉服屋さんに行ってもおそらくそのような反物は売っていないと思います。子供物はレンタルか既製品の時代になってしまいましたから
小裁ち | 一つ身 | / | 二歳ぐらい | 背縫いがない | |
二つ身 | / | / | 二歳から三歳 | 背縫いがある 両面物のみ | |
三つ身 | / | / | 三歳から四歳 | 背縫いあり 身巾のつり合いがよい 裁ち方複雑 |
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中裁ち | 四つ身 | 摘み衽 | 普通の衽 | 幼稚園年長 | 普通の四つ身 |
逆衽 | 小学校1,2年 | 衽巾がやや広くなる | |||
五つ身 | 別衽裁ち | 車裁ち | 小学校3,4年 | 身頃を前後変えられる | |
前衿裁ち | 小学校5,6年 | 相中ともいって大裁ちに近い | |||
大裁ち | 六つ身 | / | / | 中学生以上 | 大人と同じ裁ち方 |