安いものにはわけがある。

シチヘンゲ

小売屋の呉服屋さんに卸とかメーカーから 「訳ありの着物を売ってくれないか」という申し入れがあります。そうした着物は当然 いつもよりお安い値段でお取引があります。小売屋ではお店なりにお客様の状況などを考えて 「それなりに 訳ありですが いかがですか」というのです。仕立て屋から見るとそうした着物は 買わない方がいいと思います。着てもその欠点がわからない場合もありますが、「生地代は無料にすべきじゃないかと思うものがあります。」私なら無料といわれても もらわないと思う着物があるのです。中には着た時には 表にでないので気にしなくてもいいと思うものもあります。そうした時はラッキーだと思います。ところが 訳ありの訳をちゃんとその場でわかる人などそうそういません。

実はすすめている店員もどこが どれほど訳ありなのか自覚がないので お客さまにすすめることができます。真実を知った上で、仕入れるわけではないのです。仕立てる段階になって 仕立て屋の方から「これ反物はほんとうに仕立てていいのですか?」と問い合わせします。店の方からは「お安くしています。お客様にはご了承いただいています。」と返事があるから 縫わないわけにはいきません。

お店の方が「お客様にご了承いただいています。」と返事があっても 「ほんとうですか?そうは言われても これはひどいと思いますけど ほんとうにいいのですか?」と念を押して なんとか 多少は色焼けをなおしてもらう時があります。完全にはなおってきません。費用をかければ もうけがないので 費用はかけられません。というより ほんとになおせば 売った金額より 直し代の方が高くなるからなおせないのです。

仕立て屋がほんとうの意味で 自立できていれば 着物を愛するお客様に もっとちゃんと説明ができるのにと思います。呉服屋さんをとおさず 仕立てをお近くの和裁士さんに依頼してみませんか?

 

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