基礎編6 二枚襲ね

日本の伝統『 襲ね 』

二枚襲ね
日本には同じ形の着物を何枚も襲ね(かさね)て着るという伝統があります。平安時代の十二単衣が一番多く襲ねています。正式には女房装束といいます。上流階級の服装ですが、戦(いくさ)のない江戸時代になると裕福な町人にも広まります。三枚から四枚かさねて着ました。 今日では正装だけに受け継がれています。女性の場合 留袖、振袖、花嫁衣裳、 男性の場合は黒紋付です。長着を襲ねて着ることになります。 上着と下着で 「二枚襲ね」 上着と中着と下着で「三枚襲ね」と呼びます。仕立て方で本重ね仕立てや別重ね仕立てがあります。三枚襲ねでは中着の寸法が基準寸法になります。二枚襲ねでは上着の寸法が基準になります。中着、下着は白色で作ります。

現在では暑い 重たい かさばる お金がかかるという理由から、二枚襲ねではなく 付け比翼仕立てがほとんどです。振袖ではほとんど用いられなくなりました。着たとしても披露宴で花嫁が着るぐらいではないでしょうか。ただ お金がかかるよいうより 薄くて暖かいという洋服を着なれた現代人には二枚襲ねは拷問のようなものかもしれません。暖房完備がよくなっていますので付け比翼で十分です。比翼について知りたい方は『中級編9』をご覧下さい。

着物は洋服に比べれば少々体重が変わっても着れます。また着付けの腕がよければごまかすことも可能です。しかし極端に寸法が違うと綺麗に着る事はできません。また体格に寸法があっているだけでなく長着を基準として 長襦袢 羽織 コートの寸法をあわせます。長襦袢の袖は長着からでないことを前提にします.。
誤解のないようにお願いしたいのは フリーサイズの着物を購入して 少々長くても、大きくても着れるということではありません。最初に 自分にあった寸法に仕立てた着物が 時の流れで 体格が多少変化しても着ることができるというのが本当です。洋服では7号だった人が11号サイズになった場合は ちょっと難しいでしょう。いくら着物でも10キロ以上変化のあった人は仕立て直しをおすすめします。

『中級編9 比翼について >>』

基礎編6 女物の着物の種類と寸法

着物は重ねて着るので 下に着る着物と上に着る着物の寸法を加減します。既製品の着物は業者によって寸法が異なるのですから 綺麗に着れなくても当然です。たまたま寸法があっていればなんとかなりますが・・・。着ていると後ろ姿がわかりません。着物を美しく着たかったら 後ろ姿を写真にとってもらうことをおすすめします。

女物の着物の種類と寸法の関係

女物の着物の注意する点
上記の丸で囲んでいる部分に注意が必要です。裄 袖丈 衿肩周り この3点を長着を基準にして寸法を少しずつ加減します。女性は袖に振り口があります。長襦袢と長着の肩巾と袖巾があっていないと振り口から長襦袢がでてきたりします。

部位別の寸法の加減

名称 長襦袢 長着 羽織 道行コート
下着 上着
袖巾 -2分 -1分 基準 +1分 +2分
肩巾 同寸 同寸 基準 同寸 同寸
袖丈 -2分 -1分 基準 -5分 -5分
付け込み 同寸 同寸 基準 同寸 同寸
繰越 同寸 同寸 基準 +1分 +2分
袖付 -2分 -1分 基準 +2分 +3分

 

羽織の袖が長すぎる場合の例です。

長着の上に着物を着た後ろ姿
袖の振りを見ると羽織の袖が長着よりもだいぶん長い
羽織の着た女性の後姿です。羽織の袖丈が1尺5寸 長着の袖丈が1尺3寸  この着物は袖丈があっていないだけですが、裄があっていないと振り口がら長着の袖が飛び出すことにもなります。羽織は長着の汚れを防ぐ役目もあるので、小さい羽織は意味がありません。大きすぎたり、長すぎたりすれば じゃまになってこれもよくありません。

基礎編6 男物の着物の種類と寸法

着物は重ねて着るので 下に着る着物と上に着る着物の寸法を加減します。
男性は対丈で着るので 着丈は女性ほど融通できません。着付けが上手な人は 少し長いめに仕立てて、着る時に裾をあげて着ます。すると衿にゆとりができます。袴を必ず穿くという人は身丈を短めする場合もあります。男物の着物の寸法で注意する点

振り口がないので 袖丈があっていなくても気にならないし、長襦袢の裄と長着の裄があっていなくても 長襦袢の裄が長がすぎなければ 着れます。長襦袢の裄が短すぎると 袖口がよく汚れる原因になります。衿肩周りが気になるのですが、男性は首回りにそわして着ることが美しく着ることへの一歩です。当然 長襦袢 長着 羽織と順に大きくならなければ 美しく着れる寸法ではありません。肩周りの寸法についてはJIS規格ではありませんので 仕立てが違えば 寸法も変わるという事を知った上で購入してほしいです。

部位別の寸法の加減

名称 長襦袢 長着 羽織
下着 上着
袖巾 -2分 -1分 基準 +1分
肩巾 同寸 同寸 基準 同寸
袖丈 -2分 -1分 基準 同寸
付け込み 同寸 同寸 基準 同寸
繰越 なし なし 基準 2分
袖付 -2分 -1分 基準 袖丈=袖付