中級編3 縫い紋

縫い紋 手縫いとミシンの違い

背縫いの縫い紋

縫い紋 五三の桐五三の桐で女物の色無地にあった背紋です。この紋は全形を刺繍しないで中心より少し多く刺繍しています。紋合わせをすれば半分は必要ないので全部縫わない時の方が多いです。男紋は直径1寸あります。5分が中心の位置になります。生地の端から3分が紋の中心になるのは女物と同じです。従って男性の背紋は全形を刺繍する事はできません。右の紋はよくみると大きさが違って左側の紋は少しいがんでいますがこうことはよくあることで和裁士はこれをうまくごまかして縫い合わせないといけません。また、この紋は3分5厘ぐらいが紋の中心になっています。

紋合わせをする前の紋縫い紋をほどいて紋のない着物にする。これは以外に危険なことだという事を覚えてください。そしてこの話は着物を手縫いにするかミシンにするかということにもつながります。
縫い紋はいれるよりもとる方がお金がかかります。

縫い紋の糸は生地のどこに入るのか?

平織の生地の織り方図です。縦糸と緯糸が交互に交差しています。織り方の基本中の基本です。この生地に縫い紋をいれるとします。ほんとうの着物の生地はもっと複雑な織り方ですが。イメージしやすいようにいたしました。

経糸と緯糸が交互にまじわる生地拡大図

上手な人は生地の縦糸と緯糸の間を通して縫い紋をいれます。もちろん紋の柄によっては必ずしも間にいれられない時もあります。手縫いの場合は生地を傷めない為にこのようにします。

上手に縫い紋が入っているときは経糸と緯糸の間に縫い紋の糸がはいっている

下手な人やミシンの場合は縦糸と緯糸の間に縫い紋の糸を入れるということができません。ミシンで紋をどのようにいれるのかは見たことはないのですが、コンピューターに柄を覚えさせると思います。たとえ 縫い紋を入れている時に人が見ていても直接針をもっているわけではないので 縦糸や緯糸に貫通させているかどうかわかりません。

ミシンや上手でない縫い紋の時は着jの糸に縫い紋の糸がからんでいる

縫い紋の糸を解く時に生地の縦糸や緯糸が傷つけられて 部分的に細かい糸が生地からでてきます。このようになるとなおません。

へたに縫い紋の糸をぬくと生地を傷つける

呉服屋さんに縫い紋をとる依頼をする場合

上のようなことになる可能性があるのでそのままにした方がいいといわれる時があります。
呉服屋さんが自分のところで売った時は縫い紋がミシンなのか手縫いなのかなどの情報があります。それで 縫い紋を入れてくれた職人さんにとるように依頼する。これが一番やり方としては良い方法です。
色無地などの前後を変える事ができる着物の時は仕立て直しで対応する方法があります。一度いれた縫い紋はとらない方が無難なのです。

女性が縫い紋を入れる時

女性の場合は結婚した時に着物をそろえる場合に夫の家紋、自身の家紋、だれでもいれられる女紋(一番多様される五三の桐)この三種類が考えられますが、万が一のことを考えれば夫の家紋を入れないほうがいいです。別れたのに着物は前夫の家紋なんていやでしょうから


着物を手縫いにするかミシンにするか

手縫いの方が仕立て代が高いです。安ければ誰もミシン縫いを頼みませんから。ミシンで着物を縫うのに一番改良したところは針だと思います。家に家庭用ミシンがある人は見てください。一番細い針は9号だと思います。工業用のミシンは8号が一番細いと思うのですが、その8号の針でも手縫いのようなわけにはいきません。
何十年も着物を大切にしたいならば 生地を傷つけない縫い方がいいのです。縫う時より ほどく時の方が問題です。糸を抜く時に簡単に抜けないならば余計に生地を傷つけます。 縫い紋はほとんどがミシンの縫い紋になっています。明らかに ミシンの縫い紋は生地になじみません。かたくなります。ミシンならば おおきさに違いがないと思うかもしれませんが 実際は違います。形や大きさが違う時があり、それをうまく繋ぎ合わせないといけないのです。手縫いよりかたい仕上げなので
ごまかして縫い合わせるのが難しい気がします。この時代の流れはとめようがないのでしょうが、手縫いの縫い紋の技術も受け継がれてほしいと願っています。

中級編3 落款

  • 下前衽に作家の名前、登録商標、会社名、飾りとして文字を染めたり、印を染めたりします。
  • 厳密には落款とはいいませんが、喪服の下前衿には持ち主の名前を入れてたりします。女性は名前をいれます。(離婚して氏が変わる場合もあるから)
  • 下前衽の落款は 裾から1尺5寸、巾位置は衽の真ん中です。
  • 衿の落款は下前衿の衿先から3寸ほど上がった所が理想の位置です。衽側ではなく、衿巾から5分ほどはいった位置です。

落款の位置

上の「美紀」というネームの入れ方は 上等なやり方です。普通は あらかじめ白く四角に抜いた部分に 字を書く方法です。出来上がりは名前が黒字で、周囲は白いままです。美紀の場合は最初に名前を書いてから周囲を染めます。

帯に印を入れる場合もあります。

中級編4 ふくろ 

袷の場合 裾で表生地と裏生地が離れていません。従って 表生地と裏生地のつりあいが問題になります。多くの場合は表地の方が裏生地より重いです。裏生地が表生地を支えなければなりません。その為 裏生地の方にゆるみを入れます。裏地が軽ければ軽いほどたくさんのゆるみが必要です。長く吊った状態にしておくと 表地にふくろが入りやすくなります。着た後に 風を通す事は大切ですが 何日も吊るしたままはおすすめしません。写真は長襦袢ですが、裾にふくろがはいっています。何度かの丸洗いでこのようになってしまいました。ここまでくると縫い直した方がいいです。表側がだぶつくことをふくろがはいるといいます。ふくろがはいるイメージ

紗合わせでもこのようなことがおきる可能性があります。つまりは二重になって下側がとじている部分はふくろの危険があるということです。

ふくろがはいった長襦袢

表に豪華な刺繍があったり 金糸などがたくさん使われていたりすると 裏地はそうした表に対応できないといけないわけです。裏だからといって お安いものにすると 気が付いたら 表と裏の加減がとても悪くなってしまったりするのです。