羽織部分名称
単衣羽織の部分名称と構造
羽織は紋をいれると礼装になり 外着の中では格が上です。基本的に襠(まち)がついています。茶羽織などの普段着の時は襠がない羽織もあります。単衣でも袖口には袖口布をつけます。
羽織は後から見ると前下がりと衿の一部分が見えます。
前下がりをつける理由
どんな人でも 背中にお肉があっても 前側の方が 出ています。裾線をまっすぐにしようと思うと 前身頃の方が長くないといけません。今は ロング丈の羽織が流行していますが 前下がりをつけます。雨コートのような対丈で作る時は歩きやすいように前上がりにします。そうしないと 階段などで裾を履物で踏むので 危険です。 年を重ねると背中がまがってくる方もいます。だから 必ずしも前下がりに縫う必要はありません。ちなみに男物の長着でも前上がりにして仕立ててほしいという人がいます。女性と違って 対丈で着ますので 調整できないからです。
乳付け (乳ちち)
覚え方を教えてもらったのですが、男尊女卑という気がするので いうのはやめます。上に重なる方が、女子は上がる、男子は下げる。
乳つけの位置
羽織の衿は外側に折ってきます。紐は身頃の中にはいるようになるのです。
紐通しのことを 乳(ち)と一口でいう場合もあります。現在の乳付けの位置は胸より下の位置にあります。昔の日本映画をみていると帯揚げの位置よりも高いところで紐を結んでいるのを見たことがあります。名は体をあらわすと申しますので この名前は紐とおしの位置までを表した名称だと思います。 昔の乳付けは今より高かった。
リバーシルブの羽織では 乳つけを両面につけます。私は縫ったことがないのですが、羽織の衿の折り方をリバーシブル用にした方がいいと思います。
羽織の男女の違い
衿の表側に千鳥くげをしないのが男性、千鳥ぐけをするのが女性です。男性には脇あきがありません。つまり 袖丈=袖付 です。千鳥ぐけをしないのは男性は衿をたてて着ても習慣もあったからです。女性には身八つ口と振り口があります。男物の襠の形は三角形 女物の襠の形は台形です。元々 羽織は男性の着物だったので このような違いが生まれました。
最近は 衿を折って着るとかを 全く気にしない人がいます。その場合 千鳥ぐけは 取ってしまった方がいいと 思います。しかし 気にしない人は 千鳥ぐけも気にしないので・・・・。