着物の特長
着ると生地が汚れたり傷んだりするのは避けられません。そこで傷み具合に応じて 仕立て換えを行います。しかし 最初から仕立て換えできるように裁っておかないとできません。 ※内あげから下を裁って天地がえをする場合は衿肩明きは関係がありません。ここで 紹介するのは一番最初にする仕立て替えの方法です。
着物で一番傷みやすいのはお尻から裾までの間です。昔は必ず正座をしていましたし 普段着では 前身頃のひざあたりがすりきれたりぬけたりしました。洋服でも同じですが 長く着ていると両肩の所が薄くなってきます。着物も同じように肩部分が弱くなります。それで単衣の着物では「肩当て」をつけて補強しました。仕立て換えのポイントは生地が完全に傷んでしまう前に行う事です。糸だけがぬけたり 切れたりする事はさほど問題ではありません。縫い直せばいいのです。しかし生地そのものが損傷するまで ほおっておくと なおすには 手間暇がかかり お金もかかります。着た後に風をとおして 箪笥に納める前に生地の具合を見ましょう。お尻の部分を重点的にまた 男性は洋服を着ている時のように足を広げがちです。広げると傷むのも早いと思ってください。
図で見る仕立て替えの例
最初に下図のような 着物があるとします。
図で示しているように 後身頃の背中心 お尻から下部分が 弱ってきているとします。
下図のような着物に仕立て替えます。
上記仕立て替えの方法
- 本当は このような形には しませんが わかりやすいように 脇部分を広げて上から見た図です。
- 掛衿と地衿 衽の順に 取ります。
- そのまま 身頃と袖を180度回転させます。
- もともと前身頃で 衽に隠れていた部分を背として縫い直し もともと後身頃だった所に 衽と衿を縫います。
脇の部分をもどしますと 仕立て替えのできあがりです。
どのように 変わったのか同じ所を見て 確認してみましょう。
今回は衽と衿は変更していませんが 上前衽と下前衽を変更しても構いませんし 衿も汚れ具合によって 地衿と掛衿を交換することもできます。